事件ファイル No.13-7

宣戦布告

真神教授は水間の協力を得て
核子の分析に明け暮れていた。
シーニーから教えられた
【Memento Mori】メンバーの
遺伝子情報と照らし合わせ
彼女は核子が
『誤った計算式で彼等の遺伝子情報が配合された』結果
生み出された嵌合体キメラだという事実に辿り着いたのだ。

「計算式に細工したのは俺やけど」
「え? じゃあ、核子は
 シーニーが原因で生まれたのか?」
「俺、数字を少し弄っただけやで?
 どっちかと言うと、生み出せへん様にした方」
「少々の誤差で此処迄異形の物体が生み出される事は
 あまり考えられなかったのですが…」
「俺が弄った数字の誤差に気付いた何者かが
 それを訂正しようと…した?」
「はい。その形跡が見られました。
 然も形跡を解析した結果…修復しようとしたのは、
 GvDの所有するスーパーコンピューター自身だったのです」
「コンピューターの自己修復の結果、か…」
「水間さんはそのコンピューターの事を
 『未来を見通す神』と呼んでいましたが…
 言葉とは真逆の、苦々しい表情でした」
矛盾PARADOX……」

ロッソはそっとそう呟き、俯いた。

彼奴アイツを、助け出さないと……」
「ロッソ…」
「鷹矢…」
「晋……」
「あんな目に遭わされても、
 お前は瀬戸を救い出したいんか?」
「…あぁ。同じ環境で生まれ育ったからこそ
 彼奴アイツは俺に救いを求めていたんだ。
 『帰りたい』ってな」
「そうよね。瀬戸さんは寂しがり屋。
 貴方と同じ、孤独に苦しめられてきた魂…」
「そうだ。だからこそ、俺が瀬戸を
 高みへと引き揚げてやらねぇと。
 無理矢理にでも、な」

再び顔を上げたロッソの虹彩が
燃える様な真っ赤に輝いている。

「水間さんの所在地のヒントになればと思いまして」

真神教授はそう言って一枚の地図をテーブルに広げた。

「これは?」
「研究所や拠点の地図です。
 GvDの下部組織に囚われた際
 手に入れた物ですので…
 少し情報は古くなってるかも知れませんが」
「いや、ありがたい。こりゃ貴重な情報や」

地図を精査し、当たりを付けていく。
ポイントとなるのは
最近開拓された湾岸地区の埋め立て地。
其処に建設された塔。

「俺は、此処やと思う」

シーニーは迷わずその場所を指差した。

鷹矢Rosso高須賀Geel
「おう」
「はい!」
「お前等はこの塔を攻略しろ」
「「了解」」
「阿佐」
「じゃあ俺も…」
「お前は周辺の住民の安全を確保するんや。
 警視庁のモンやったら
 仲間を動員出来るやろ」
「そ、それは…。でも…」
「戦争は戦争屋に任せりゃえぇ」
「……」

共に戦いたい。
シーニーの申し出に不本意なのだろう。
阿佐は途端に顔を曇らせた。
すると、そんな彼のスマートフォンに着信が入った。
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