事件ファイル No.2-1

大臣暗殺計画

【Cielo blu in paradiso】がランチ時間を閉めている。
鬼の錯乱か。
ロッソが風邪を引いたらしい。

「ロッソでも風邪引くんだ」
「…引かねぇとでも、思ったか…ゲホッ」
NUMBERING改造人間だから病気は一切しないと思ってた」
「しないのが大半だと思うよ」

そう答えながら、ベルデはロッソの額に置かれた
溶けた氷嚢をよく凍った物へと交換した。

「じゃあ、何故?」
「私達が【特別】なの」
「風邪を引く事が特別?」
「そう。阿佐達と変わらない体ってのは
 それだけ特別仕様なのよ」
「俺等は単に『死なない』・『老けない』ってだけでな。
 それ以外は極普通の人間と変わらん」
「へぇ…。俺達と遜色無いって事か。
 でもそれって戦う時に不利じゃない?」
「生きている事を楽しめる訳やからな。
 別に有利不利は関係あらへん」

そう言って煙草を吹かすシーニーだが
こんな場所で堂々と喫煙もどうなんだろう?

「そう言えば、ゲールは?」
「お散歩だって」
「買い出しじゃないんだ」
「お店を閉めてるんだから
 買い出ししても仕方が無いでしょ…」

ベルデは呆れ返った声で返事をする。
言われてみれば、確かにそうだった。

* * * * * *

ゲールがアジトへ戻って来た時、
残っていたメンバーは臥せっているロッソを除いて
全員が1F店舗エリア、ホールに待機していた。
此処は非常時に於いてそのまま作戦会議室となる。

何処どこぞの阿呆が【花火】を上げやがった」
「さっき微かに揺れたのは、爆弾?」
「あぁ。このエリアが狙われた」

シーニーがスクリーンに地図を出すと
狙われた部分をポインターで示した。

「此処は…」

声が詰まる俺の方をチラッと見ながら
シーニーはその場所が何なのかを説明する。

「この国のまつりごとを取り仕切る
 お偉いさん方の居住地」
「へぇ~。こんな所に住んでるんだ」
「で、此処が先生方のお仕事場所」
「面白い形で爆弾を配置したもんだな」

寝ていた筈のロッソが現れ、
急に変な事を言い出した。

「どう云う意味だ、ロッソ?」
「見てみな。…六芒星ヘキサグラム形だ」
「あら、本当」

興味深げにベルデがスクリーンを見つめる。
見た目通りの年齢だと彼女は言うが
こう仕草を見ていると、確かに
資料にあった【15歳】が正解なのかも知れない。

「狙われた場所はこの6か所。
 六芒星形通りだとすれば、
 これでお仕舞いやけど」
「ん? どう云う事だ、シーニー?
 まだ続くって言いたいのか?」
「あぁ。一応主犯格を名乗っている奴が
 『ゲームの続行』を宣言しとる」
「続行だってっ?!」
「シーニー」
「何や、ベルデ?」
此奴コイツ等の狙い、本当にそのお偉い人達?」
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