鬼の錯乱か。
ロッソが風邪を引いたらしい。
「ロッソでも風邪引くんだ」
「…引かねぇとでも、思ったか…ゲホッ」
「
「しないのが大半だと思うよ」
そう答えながら、ベルデはロッソの額に置かれた
溶けた氷嚢をよく凍った物へと交換した。
「じゃあ、何故?」
「私達が【特別】なの」
「風邪を引く事が特別?」
「そう。阿佐達と変わらない体ってのは
それだけ特別仕様なのよ」
「俺等は単に『死なない』・『老けない』ってだけでな。
それ以外は極普通の人間と変わらん」
「へぇ…。俺達と遜色無いって事か。
でもそれって戦う時に不利じゃない?」
「生きている事を楽しめる訳やからな。
別に有利不利は関係あらへん」
そう言って煙草を吹かすシーニーだが
こんな場所で堂々と喫煙もどうなんだろう?
「そう言えば、ゲールは?」
「お散歩だって」
「買い出しじゃないんだ」
「お店を閉めてるんだから
買い出ししても仕方が無いでしょ…」
ベルデは呆れ返った声で返事をする。
言われてみれば、確かにそうだった。
ゲールがアジトへ戻って来た時、
残っていたメンバーは臥せっているロッソを除いて
全員が1F店舗エリア、ホールに待機していた。
此処は非常時に於いてそのまま作戦会議室となる。
「
「さっき微かに揺れたのは、爆弾?」
「あぁ。このエリアが狙われた」
シーニーがスクリーンに地図を出すと
狙われた部分をポインターで示した。
「此処は…」
声が詰まる俺の方をチラッと見ながら
シーニーはその場所が何なのかを説明する。
「この国の政を取り仕切る
お偉いさん方の居住地」
「へぇ~。こんな所に住んでるんだ」
「で、此処が先生方のお仕事場所」
「面白い形で爆弾を配置したもんだな」
寝ていた筈のロッソが現れ、
急に変な事を言い出した。
「どう云う意味だ、ロッソ?」
「見てみな。…六芒星形だ」
「あら、本当」
興味深げにベルデがスクリーンを見つめる。
見た目通りの年齢だと彼女は言うが
こう仕草を見ていると、確かに
資料にあった【15歳】が正解なのかも知れない。
「狙われた場所はこの6か所。
六芒星形通りだとすれば、
これでお仕舞いやけど」
「ん? どう云う事だ、シーニー?
まだ続くって言いたいのか?」
「あぁ。一応主犯格を名乗っている奴が
『ゲームの続行』を宣言しとる」
「続行だってっ?!」
「シーニー」
「何や、ベルデ?」
「