事件ファイル No.2-2

大臣暗殺計画

ベルデ迄もが不思議な事を言い出した。
この国の主要地区を爆破テロしておいて
他に目的なんかあるのだろうか?

「俺は違うと思っとるけどな」
「やっぱり」
「俺も、シーニーの考えに同意する。…ゲホッ」
「寝とけや、ロッソ。鬱陶しい」
「これ位、大した事…ゲホッ、無いっ」
「…やれやれ」
「まだ別の目的が有るって言っても…」
「可能性は0やない。
 つまり、別の目的が存在する事を
 完全に否定は出来ん。
 寧ろ俺なら、真の目的の為に
 態と派手な目立つ場所を爆破するわ」

シーニーはそう言って不気味な笑みを浮かべた。
本当は彼が爆破したのでは?と云う疑問が過る。

「俺ちゃうぞ」

瞬時にそう返され、思わずドキッとした。
ベルデが笑っている所を見ると
俺の心の声を彼女がシーニーに伝えたのだろう。

「次の一手を待つか。
 犯人の正体と目的を知るのは
 恐らくそれからになるやろうからな」
「それ迄に何とかならないのか?
 悠長に構えて、もし犠牲者が出たら…」
「今だって犠牲者は出てる筈だ。それに…」

ロッソは真剣な眼差しで俺を見つめた。

「俺達は『神様じゃない』んだ」

* * * * * *

シーニーが言った『次の一手』は
それから二か月過ぎても起こらなかった。
やはりあの爆破テロで終わったのではないか。
俺だけじゃない。
TVをつけてもニュースキャスターが
やはり同じ事を述べている。

「そろそろ…か」

ロッソはTV画面を横目で見ながらそう呟いた。

「えっ? そろそろって?」
「世間の関心が薄らいできた。
 やるなら、『そろそろだ』って事」
「…まさか、最初からそれが狙いで?」
「今迄の犯罪者の傾向からすりゃそうだろうな。
 所謂【知能犯】って呼ばれる分類程」
「しかし、それじゃ…」

俺の声はTVから流れた爆音に掻き消された。

「?!」
「局をターゲットにしたか。
 周知させるには手っ取り早いわな」
「そんな事を言ってる場合かっ!!」
「此処に居る俺達には現状、何も出来ん。
 言った筈だ。
 俺達は『神様じゃない』って」
「くっ…!」
「そろそろシーニーがお得意の計算で
 奴等の出方を弾き出してる筈さ」

あくまでも平静を崩さないロッソに
俺は思わず苛立ちをぶつけたが
彼は難無くそれを交わしてしまう。
尚更歯痒くなる。

「焦るなって」
「そうは言われてもだな…」
「そう云う所。
 マジで現職の刑事デカなんだな」

ロッソはそう言うと、珍しく笑みを零した。
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