事件ファイル No.2-3

大臣暗殺計画

「解ったって」

俺達の前に、いつの間にかベルデが立っていた。

「犯人の狙いが、か」
「えぇ。狙われたTV局も偶然じゃない。
 ターゲットの血縁が勤めてた様よ」
「成程ねぇ…。
 シーニーの奴。
 『今日は一日中、この局を流しとけ』なんて
 意味深な事を言いやがると思ったら」
「え? どう云う事?」
「奴等の狙いが財務大臣だって事さ。
 狙われた局には大臣の次男が勤めている」
「じゃあ、やはり油断した時を狙って態と…」
「仕留め損なったみたいやけどな」

シーニーがゲールと共に奥から姿を現した。
彼は胸元からスマートフォンを取り出すと
意味深にチラチラと俺に見せつける。

「どうしてそれを?」
「俺が事前に連絡入れといたから」
「はぁ~っ?!」
「NUMBERINGはそれなりの上層部と
 顔が繋がってたりするんよね」

シーニーはニヤッと笑って見せたが
その眼は少しも笑っておらず、冷たく光っている。

「敵対するNUMBERINGも同様よね」
「ベルデ。NUMBERINGって敵対したりするのか?」

初耳だ。
そう言えば、彼等は4人の少数部隊だが
他のNUMBERING達はどうしているんだろう。

「俺達以外のNUMBERINGは皆
 『人類の敵』だと思っておいて良い」
「?!」
「この国だけじゃない。
 世界中にNUMBERINGは存在している。
 公表してないだけでな」
「そんな事が…?」
「俺等は謂わば権力者の隠し武器やから。
 態々公言する阿呆は居らんやろ」
「じゃあ、アンタ達の雇い主は…?」

俺は恐る恐る疑問をぶつけてみた。
彼等は『誰の為に』戦っているのか。

らんよ」
「えっ? でも…」
「協力者はる。
 だが其奴等の身の安全の為に
 今此処で、お前に暴露する訳にはいかん」
「……」
「そして、俺等は世界で唯一の【フリー部隊】や」

フンっと鼻で笑いシーニーは胸を張った。

そう言えば、前から気になっていた。
ロッソやゲールの左鎖骨下にあるタトゥー。

「ロッソ、それ…?」
「ん?」
「左鎖骨下のそれって…タトゥー?」
「…みたいなもんだ」
「何の象徴エンブレム?」
「俺のはバッタ」
「俺のはって事は、皆も?」
「私はカマキリ。見せないわよ」
「言わないよ。『見せて』だなんて…」
「俺はカブトムシ。ゲールはクワガタや」
「只のファッション…でもなさそうだな」

俺の呟きに、シーニーは意味深な笑みを浮かべた。
だが返答は無い。
今は答えない。いずれ判る。
シーニーはいつも、そんな返し方をする。

「シーニー」

ロッソが声を荒げた。
指示を出せと云う事だろう。

「あぁ。そうやったな」

シーニーもそれを理解したのか
ハンドPCを懐から取り出すと
それを展開してキーボードを叩き出した。
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