事件ファイル No.2-5

大臣暗殺計画

某所。ビル屋上。

「あ~ぁ、デカい花火が上がってら」

冷ややかな笑みを浮かべながら
ロッソがそう言って笑っている。

「ネットで爆弾の作り方なんか探すから
 こんな目に遭うんだぜ」
「あれって…?」
「シーニーが仕掛けた罠。
 今回のテロリスト共が使用した爆弾の特徴から
 奴等がネットの情報を利用して
 爆弾を作っていたと見抜いてな」
「じゃあ、シーニーは態と偽情報を流したと?」
「偽の情報じゃねぇ。
 只、【時限爆弾】にはならない火薬の調合を
 流した…とは言ってたが」
「一体そんな事、どうやって…?」
「さぁ? 彼奴アイツのやる事はよく解らん」
「……」
「ベルデの地点でも花火が上がったって事は
 少なくとも拠点の二つは潰せたって事だ」

ベルデからの連絡を精神感応テレパシーで受け取ったのか。
ロッソは実に幸せそうな笑みを浮かべていた。

「本当に…」
「?」
「惚れてるんだな、ベルデに。
 何歳差だっけ?」
「俺が35歳。彼女が15歳だから…20歳差か」
「…犯罪級だな。その年齢差」
「そうか?
 二人が愛し合っているなら
 年齢差なんざ大した問題じゃあるまい」
「…結構な自信で」

* * * * * *

何者かが自分達を盗み見ている。
会話も盗聴されているかも知れない。
SNSでの会話ログでさえも
既に習得済みかも知れない。

テロリスト達の間に
互いへの疑念が生まれていた。
国家転覆。
余りにも大胆なその野望を目の前にして
何かが邪魔をしているとは思っていたが。

「そう簡単に…尻尾を掴ませてたまるか……」

折角此処迄来たのだ。
ターゲットを狙い撃つ迄は退けない。

* * * * * *

「ん?」

シーニーが何かを捉えたらしい。
険しい表情を浮かべてキーボードを叩いている。

「何か遭った?」
「いよいよお出ましか」
「?」
「ロッソ、ベルデ、ゲール」

呼ばれた三人が一斉に振り向く。
呼ばれた意味はもう、解っているかの様な表情で。

「今回は最初から【解除Exceed the Limit】で」
「久々に【解除】からスタートか!
 腕が鳴るぜ!」
「興奮し過ぎて街まで破壊しないでよ?」
「おぅ。その辺は善処する」
「あの…【解除】って?」
「見りゃ分かる。
 つーか今回の件では
 阿佐に留守番頼みたい位なんだがな」
「そうねぇ…。
 流れ弾に当たって死んじゃっても困るし」
「えっ?」
「俺達も流石にその辺考慮した上でなんて戦えんぞ?」
「ねぇ」
「(うんうん)」
「…どう云う意味?」
「NUMBERING同士の激突や」

シーニーはそう言い切り、椅子を回転させると
真っ直ぐに俺の目を見た。
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