事件ファイル No.2-7

大臣暗殺計画

深夜2時。

全身黒ジャケットに覆われたロッソの姿は
普段の仕事着と変わりがない。
大きな違いは、
フルフェイスヘルメットを着用していない事。

「見える?」
「あぁ」

彼の【目】は暗視も可能だという。
遠方でも鮮明に見えるらしい。
透視能力に近いのかと聞けば
「そうだ」と返事された。

「そろそろ出番だぜ、阿佐」

そう言ってロッソは笑みを浮かべる。
俺の役目は、敵の足元に
閃光弾を撃ち込む事。
敵が光に目をやられている瞬間に
一気に接近するらしい。

「大丈夫なのか?
 閃光で目をやられたりしないでくれよ?」
「大丈夫だ。俺を信じろ」

強い声でそう返された。
自信が有るからこそ
彼はこの作戦で打って出るのだ。

「行くぞっ!」

ロッソの掛け声に合わせて俺は照準を合わせた。
スコープ越しに敵と目が合う。

「迷うな!」

ロッソがそう言って柵を飛び越える。
彼の声に導かれ、俺は引き金を引いた。

「しまったっ!!」

咄嗟の判断の遅れ。
敵は閃光弾を交わしてロッソに襲い掛かっていた。

「ロッソッ!!」

俺は思わず叫ぶが、それに対してロッソは
左掌をタトゥーの有る左胸に当てると
右の指でピストルを形作り、
そのまま頭を撃ち抜くアクションを起こした。

「?!」

彼の姿が明確に変化していく。
深い闇に限りなく近い、漆黒の全身。
人には有り得ない頭部の発達。
何処と無く、バッタを思わせるフォルム。
これが…【解除Exceed the Limit】?

「貴様…。ランクは?」
「ランク? NUMBERINGのランクか?」
「そうだ。俺達はCランク」

シーニーから聞いた事がある。
NUMBERINGの闘いに於いて
必ずランクの名乗りが有ると云う事を。

「貴様のランクは?」
「俺のランクは…【NO NAME名無し】だ」
「はぁ? 巫山戯るなよ、貴様っ!!」
「巫山戯ちゃいない。
 俺はランク外のNUMBERINGって意味さ」

多分、ロッソはこの瞬間に笑ったのだろう。
何故かそんな姿が脳裏を過った。

* * * * * *

「ランクCか。
 あの議員も金無いなぁ~」

仲間達の戦いをモニターで確認しながら
シーニーは冷静に敵の出方を分析している。

「今頃焦っとるかも」

敵の心理を読み、先手を取り
相手の出方を完全に封じる。
戦うと決めた以上は完膚なきまでに叩き潰す。
それが、シーニーの戦い方だ。

彼奴アイツもそろそろ目障りになって来たから
 盛大にチョンボ晒して失脚させたろ。
 この世の為の【大掃除】や」
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