事件ファイル No.6-13

鷹矢 晋司 暴行殺人事件・後編

シーニーとベルデは
純一の住むマンションの一室に居た。
現場をロッソとゲール、阿佐に任せ
彼等は直接、敵の本拠地に姿を見せたのだ。

「な…何で此処に?」
「どうとでも出来るがな。
 お前がネット回線使うて遣り取りすりゃ
 その痕跡から何処に住んでるかは
 結構簡単に割り出せるんや」
「ふ…巫山戯ふざけんな!」
「巫山戯とりゃせんよ。
 電話を使えば、このがキャッチしてくれるし」

そう言ってシーニーは莫迦にした笑みを浮かべた。

「お前、な~んも知らんのやな。
 せめて『道具の使い方』位は
 お祖父じいちゃんから教わっとくもんやで」
「無理よ、シーニー」
「何でや?」
此奴コイツ、莫迦だもん」
「…そうやった。失念してたわ」
「的場、志穂……」

純一がそう呼ぶと、
ベルデは汚らわしい物を見る目で純一を一瞥した。

「NUMBERINGの分際で、人間に指図する気かよ?」
「無能な人間の分際で
 NUMBERINGと戦うつもり?」

データ上は15歳の小娘に呆気無く反撃される。
純一は二の句が継げず、歯軋りしていた。

「あ~もう、面倒臭い。
 純一。生命が惜しかったら俺の質問に答えろ」
五月蠅うるせぇ! 俺に指図すんなっ!!」

シーニーは無言、無表情でショットガンを構えると
それを純一の顔の真横にぶっ放した。
壁が弾丸で大きく抉られている。
余りの恐怖で、純一は派手に失禁した。

「これでも出力は加減しとるんじゃ。
 マンションやしな」
「此処がマンションの最上階で
 同じフロアにこの部屋しか無かったから
 本当に良かったわ。
 他の住民に被害を出さずに済むから」
「そうやな。阿呆やけど金だけは無駄に持っとる。
 お祖父じい様には感謝感激雨あられや」

言葉は巫山戯ているが、その表情は氷の様に冷たい。
シーニーは再度、ショットガンを構えた。

「次は何処狙おかな?
 そう言えば鷹矢、両手両足もがれとったなぁ。
 あれ、生きたままやろ?
 可哀想になぁ~」

シーニーの照準が純一の右腕に定まる。
生命いのち惜しさに逃げ出した純一は
足元に何かが絡まるのを感じた。
部屋から出る事も叶わず、派手に転倒する。
その際に左足首から激痛が全身を襲った。

「ふぎゃあぁぁぁーーーっ!!」
「逃げようとするからよ」

ベルデだった。
彼女は自身の武器であるワイヤーを
純一の左足首に巻き付けていたのだ。
彼が逃げ出すと作動する罠の如く。

「よし、純一。質問に答えてもらうで。
 お前の祖父じいさん、或る組織の一員やな。
 NUMBERING計画を立ち上げた奴等に
 どう云う形で関わっとるんや?
 資金援助か?
 それとも、NUMBERINGを所有して
 国家転覆企んどるんか?」
「し…知らねぇっ!」
「知らん訳あらへんやろ?
 お前、肉親ちゃうんか?」

シーニーは倒れ込んでいる純一の髪を掴むと
乱暴に顔を上げさせた。
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