事件ファイル No.7-3

女子大生飛び降り事件・前編

「合コンだぁ~?!」

営業終了した【Cielo blu in paradiso】で
ロッソの呆れた声が店内に響き渡る。

「大学時代の知り合いがさ。
 どうしても男が後4人必要だって…」
「で、お前と俺とゲール?」
「そう。シーニーにも声を掛けたんだけど…」
「行く訳無いだろ、あの引き籠りが」
「うん。速攻で断られたよ」
「俺とゲールは確定なのか?」

面倒臭そうなロッソの態度に
ベルデと妙子が顔を合わせて苦笑する。

「何だよ?」
「行ってあげなさいよ。
 阿佐君にはいつもお世話になってるんでしょ?」
「妙子~。お前、合コンって何か解ってんの?」
「大丈夫よ、晋なら。
 いつものしかめっ面で座ってれば良いんだし」
莫迦バカにしてんのか」
「初対面が『怖い』で有名なロッソだもん。
 それに、女の人がくっついて来たら私達が嫌だし」

『ねぇ~』と声を合わせる女性陣。
どうやら、合コン参加迄は認めるものの
参加女性との交流は反対らしい。

「一番面倒臭いパターンだ」
「(僕は参加するよ)」
「え? 良いの、ゲール?」
「(通訳は宜しくね)」
「あ。そうなるよな…」

こういう話し合いになると、
意外とゲールは積極的で外向的だと判る。

「でも後一人足りない、か」
「水間でも呼んどけ」
「多分シーニーと同じ思考だぞ、あの人」
「なら絶対に来ない、と」

ロッソは口元で煙草を弄びながら
厨房からホールを見渡していた。
視線は其処に立っているベルデ…の胸へ。

「何?」
「胸、引っ込めれば…男のフリ出来るか」
「私っ?!」
さらしを巻いて誤魔化ごまかすって事?
 晋、アンタねぇ……」
「他に居ないなら誤魔化すしかねぇだろ。
 妙子は年食ってるから無理だし」

直後、妙子怒りのビンタがロッソの左頬に炸裂した。

「それで誤魔化せるのかなぁ…」
「年齢制限ねぇにゃら大丈夫ひゃろ?」

頬が腫れた為、発声が怪しくなっている。
ゲールが心配そうに
ロッソの左頬を見つめていた。

「場所、何処?」
Ristoranteレストランテ CARATIカラディ
「あら、良い場所じゃない! 私も行きたい!」
「確かデザートが有名なんだよね。
 なかなか予約が取れないんじゃなかったっけ?」
「そうなのよ! あぁ、食べてみたいわね」

ベルデが真剣に悩み始める。
男装してでも潜り込む気なのだろうか。

「ロッソの弟って設定で参加すれば
 ベルデが来ても問題無いと思うよ」
「本当? じゃあ阿佐、宜しくね!」
「よし。これで人数は調整出来た!」

安堵する阿佐に大喜びのベルデに妙子。
ロッソは溜息を吐きながら
ゲールの方を見つめていた。

「(楽しもうよ)」

ゲールの言葉が何とも心に染みた。
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