事件ファイル No.8-8

女子大生飛び降り事件・後編

明かりの消えた午前0時過ぎ。
男達が顔面蒼白で必死に逃げている。
壁に映った追跡者の影がゆっくりと彼等を追い
一人、又一人と倒して行く。
まるで恐怖映画の様にも映るが、これは【現実】だ。

自分はネットの情報に乗っただけ。
仲間達と共に現場を見に行っただけ。
其処で記念写真を撮っただけ。

だが、追跡者はそれを【罪】と言った。

「ひっ!!」

漆黒のボディーに赤い光が走っている。
最後まで残った男が何かを叫ぼうとするが
影は彼の喉を右手で掴むと恐ろしい力で握り潰した。

* * * * * *

バイクで疾走する暴走族。
すると目の前に人影が浮かんでいる。
何のトリックだと笑いながら
仲間が数人、其方そちらへ向かってスピードを上げた。

次の瞬間。
バイク諸共バラバラになった仲間達の姿に
後ろを走っていた暴走族のリーダーは目を見開いた。

影は空中からゆっくりと降り立つ。
ワイヤーの様な物が張り巡らされており
仲間達はその罠にかかって絶命したのだ。

巫山戯ふざけやがってっ!!」

怒りに駆られバイクを飛ばすリーダーだったが
影はそのままバイクに向かって駆け出し
前輪タイヤに足を掛けると
リーダーの頭部を掴んで回転した。
高速回転に耐え切れなくなった首が
頭部と胴体を切り離すのは想像に難くない。

漆黒のボディーに走る緑色の光。
その影は、震えながらその場で固まっている
暴走族の集団に照準を向けた。

* * * * * *

掲示板経由で送られてきた脅迫文。
其処で知り合った数人とは既に連絡が取れない。
恐怖に慄き、自室を飛び出して街へ逃げる。

だが、刺客は直ぐ背後に迫っていた。
漆黒のフルヘルメット。
勿論表情は全く確認出来ない。
時折黄色い光が無機質に走るだけで
不気味さは一層強くなっていた。

逃げなければ。
そう思って擦り抜けようとした瞬間。
その男の生体反応は綺麗に消え去った。
隙を突いて逃げ出せる程 刺客は甘くない。
獲物をほふった直後、刺客の姿は忽然と消えた。
次の獲物のもとへと向かう為に。

* * * * * *

「後一人……」

シーニーは鬼神の形相で
最後のターゲットの行方を追っていた。

怨掲示板の運営者にして
処刑アンケートスレッドを立ち上げた張本人。
あのアンケートの投票が恣意的な物である事も
シーニーはこの時点で掴んでいた。

「潰したるぞ、今度こそ。
 依頼なんざ関係あらへん。
 金を受け取ったら最後。
 水間がそれを利用して
 俺等を追い込むつもりやって事も
 こっちは既にお見通しなんじゃ」

解き放たれた復讐の鬼。
タイムリミットは日付変わった今日の正午。
彼はそれ迄に決着を付けようとしていた。
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