Act・1-10

NSM series Side・S

手術室前。

「どうして…」

立花は肩を震わせていた。

突然襲撃された鳩村。
七曲署管轄での出来事だった。

「信じられない…」
「落ち着け、コウ」
「でも…」
「信じろ。
 ハトさんはこんな事で
 くたばったりしない」
「ジョー先輩…」

立花の様子が心配で、
北条は捜査から外れた。
山県と平尾に後を託したのだ。

「七曲署の連中も
 必死になって捜してくれてる。
 必ず犯人は捕まる。
 ハトさんも助かる。
 信じろ、コウ」
「先輩…」
「『大門軍団』はな、
 ここ一番に強いんだぜ」

北条はそう言って笑った。

そして漸く立花も
笑みを取り戻す事が出来た。

「信じます。
 自分も、『大門軍団』の一人として…」
「それで良い」

北条は静かに頷いた。

* * * * * *

「誤射?」

鷹山の言葉に
西條と山県は思わず息を呑んだ。

七曲署は西部署の小鳥遊班と
特別にタッグを組む事になったのである。
藤堂課長の計らいだった。

「あぁ…。
 本来なら、俺が撃たれる筈だった」
「ハトは…間違って撃たれた。
 そう、言いたいんだな?」
「そうだ。
 俺達は一寸ヤバイ依頼を受けてた。
 ストーカー関係のな」
「逆恨みか?
 で、弾丸は?」
「未登録。
 改造拳銃かもな…」

西條の言葉に原も頷く。

「犯人を探す手掛かりは…」
「俺に覚えがある」
「じゃあ…鷹山さんの協力を仰ごう、ドック」
「俺も居るぜ」

鷹山の横から
面白く無さそうに大下が口を挟む。

「俺達に喧嘩を売った事、
 後悔させてやる」
「…半殺しに留めてよ。
 殺人の現行犯で
 二人を逮捕したくはないんだからね」

平尾の言葉に
鷹山も大下も笑顔で答えた。

* * * * * *

「ハトさんの具合は?」

薫も心配そうな表情で
術後の鳩村の様子を伺いに来た。

「大丈夫。
 手術は成功したし、
 ハトさんは良く眠ってる」
「そう。良かった…」
「カオルさん、ハトさんをお願いします」
「お願いって…
 二人とも何処へ?」

「現場に合流します」
「そう云う事。
 なので後は宜しく、薫さん」
「任されたわ。
 でもコウちゃん、
 犯人見つけても
 生きた状態で逮捕するのよ!」
「解ってますって!」

二人は会釈をすると
静かに病室を後にした。

「愛されてるわね、ハトさん。
 うん、人柄かな?」

* * * * * *

犯人逮捕劇はちょっとした大騒動だった、らしい。

小鳥遊は溜息を吐きながら
報告書に目を通していた。

「肋骨を5本折ったとはな…。
 事情聴取が遅れるじゃないか。
 これじゃ七曲署に対して迷惑が…」
「まぁまぁ…」

木暮はそれを慰める。

「男達の熱い友情に免じて、
 大目に見てやってよ…班長」
「課長…。
 そうですね、今回だけは…
 大目に見ますか」

木暮は満足そうに
小鳥遊の肩をポンポンと叩く。
小鳥遊も苦笑いを浮かべていた。

お題提供:[刑事好きに100のお題]
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