個人用のコンピュータが導入され
得意に扱う者、
持て余す者、
触れようともしない者
様々である。
「メールも頻繁に来てますね」
立花の声に
フムフムと鳩村が顔を覗かせる。
「そうだな」
「事件に関係の有るメールは無い様です」
「そっか。
まぁ、そんなに真剣に睨めっこするなよ。
疲れちまうぞ、コウ」
「有り難う御座います、ハトさん…」
「それに引き換え…」
溜息を吐きながら
鳩村は視線を彼の方向に向けた。
悪戦苦闘する山県と北条。
平尾はテキストを丸めて
睨みを利かせている。
「今時ねぇ、コンピュータも使えない様じゃ
立派な刑事とは言えないよ?」
「…RSのコンピュータなら
扱えるんだがなぁ~」
「同じく…」
「グダグダ言わない!!」
平尾は鬼教官のつもりらしい。
バシッと机を叩き、
二人を牽制する。
「とにかく報告書位は
コンピュータで打ち出せる様に…」
「?」
「どうしたの、大将?」
「何だ、これ?」
「ん?」
平尾が確認する間も無く、
山県の指がクリックする。
瞬間、コンピュータの画面がブラックアウトした。
「……」
「莫迦ッ!
コンピュータウィルスだ!!」
鳩村の罵声にも
山県は意味が解らず
オロオロしている。
「大丈夫です。
他のコンピュータには
感染してません。
アンチウィルスソフトを
導入してましたから…」
「大将……」
小鳥遊の声に
思わず山県は萎縮する。
「お前、あれ程
『アンチウィルスソフトを入れておけ』と
釘を指した事…
まさか忘れた訳じゃないだろうな…」
「あは…あはは……」
「初期化しろ」
「…はい?」
「自力でマシンを復旧させろ。
『自分のケツは自分で拭け』。
団長の教えだったな」
「…はい」
「流石は班長…」
鳩村と平尾は
同時に同じ台詞を呟いた。
「なぁ~、助けてくれよぉ~」
山県の呼び掛けを
全員が無視していた。
「ハト~、一兵~、ジョー、コウ~!
誰か助けてくれって~~っ!!」
「おやおや、賑やかな」
姿を見せたのは木暮だった。
「どれどれ…何をやらかしたんだ?
大将さんは…」
「課長!!」
「何やってるんだ?」
「マシンの初期化です…」
「初期化…?
そりゃまぁ随分と
大掛かりなヤマを踏んだなぁ~」
「は…ははは……」
「まぁ、頑張れよ」
「…課長?」
木暮は何事も無かった様に
課長室へと姿を消した。
「課長が助けてくれると思った?」
「…甘かった」
鳩村の冷やかしに
山県を頭を抱え込んだ。
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