大学部の校舎側から獣のような叫び声が聞こえてくる。
身も凍る様な不気味な慟哭。
「…何?」
「…ペルソナ!」
その姿を確認する前に彼は動いた。
青い光の波がパオフゥの全身を包む。
次の瞬間、彼の頭上に姿を現したのは― オデュッセウス。
「これは…?」
「ガルッ!!」
間髪入れずに疾風系魔法を発動。
攻撃が命中し、ベチョッという音を立て何かが崩れた。
「…スライムだ。もう悪魔の巣窟と化してやがる」
「今の、アンタから出てきたのは…?」
春は恐る恐る聞いてみた。
彼が自分達を仲間だと言った根拠が其処にあると思ったのだ。
「ペルソナ。もう一人の俺、とでも云うか。
…悪魔と互角に戦う為に呼び出す、まぁ武器みたいなモンだ」
「俺達にも、それがあると…?」
「確かに【共鳴】を感じたからな。断言しても良い」
「ペルソナ…」
春と秋菜は互いに、互いの顔を見合わせた。
自分の中に眠る悪魔と互角に戦う力。
発動させなければ生命が無いという事実。
「ペルソナ使い達は共通して何かの使命を帯びてる。
お前等にもきっと、
越えなきゃならねぇ壁がどっかにあるんだろうな…」
パオフゥの言葉には何とも言えない哀しさが滲み出ていた。