THE MAGICHAN

4

大学部の校舎側から獣のような叫び声が聞こえてくる。
身も凍る様な不気味な慟哭。

「…何?」
…ペルソナ!

その姿を確認する前に彼は動いた。
青い光の波がパオフゥの全身を包む。
次の瞬間、彼の頭上に姿を現したのは― オデュッセウス

「これは…?」

ガルッ!!

間髪入れずに疾風系魔法を発動。
攻撃が命中し、ベチョッという音を立て何かが崩れた。

「…スライムだ。もう悪魔の巣窟と化してやがる」
「今の、アンタから出てきたのは…?」

春は恐る恐る聞いてみた。
彼が自分達を仲間だと言った根拠が其処にあると思ったのだ。

「ペルソナ。もう一人の俺、とでも云うか。
 …悪魔と互角に戦う為に呼び出す、まぁ武器みたいなモンだ」
「俺達にも、それがあると…?」
「確かに【共鳴】を感じたからな。断言しても良い」
「ペルソナ…」

春と秋菜は互いに、互いの顔を見合わせた。
自分の中に眠る悪魔と互角に戦う力。
発動させなければ生命が無いという事実。

「ペルソナ使い達は共通して何かの使命を帯びてる。
 お前等にもきっと、
 越えなきゃならねぇ壁がどっかにあるんだろうな…」

パオフゥの言葉には何とも言えない哀しさが滲み出ていた。
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