約束通り、その晩は真田さんが傍に居てくれた。
流石に兄さんの様に
抱きしめて寝てはくれなかったけど
それでも、嬉しかった。
そして真田さんは
寝付けない僕を心配してくれたのか、
沢山の話をしてくれた。
それは僕が一番知りたかった話。
宇宙戦士訓練学校時代の
兄さんと真田さんの話だった。
授業は真面目に出ているものの
居眠りばかりだった兄さん。
怖いと有名な先生に目を付けられているのに
堂々としていた兄さん。
真田さんとはいつも
成績では張り合っていたらしいけど…
でも、物凄く仲が良かった事。
「学校に進学するのは別に反対せんよ。
開けた世界で、友達を作るのも良い」
「…友達?」
「そうだな。好敵手、とも呼ぶ。
自分を磨き上げてくれる親友だ。
俺にとってお前の兄さんは、
正にそう云う存在なんだ」
「へぇ……」
「俺と守は性格が全く異なる。
だから、却って心地良いんだよ。
敵討ちだけを考えるのも良い。
しかし、それだと次第に疲れ果て
肝心な時に力を発揮出来ずに終わるだろう」
「真田さん……」
真田さんは兄さんと同じで
入学そのものも【反対の立場】だと思ってた。
だけど、こうして話していると解る。
真田さんは理解してくれてるんだ。
その上で、僕がこの試練を乗り越えられるか
見守ってくれているんだ。
僕は…一人ぼっちじゃない。
今は兄さんと解り合えないだろうけど
それで諦める程度じゃ
敵討ちなんて叶いっこない。
敵討ち。
大切な事だ。
僕にとっては、何よりも大切な事。
だけど…それを果たしたら?
果たしたとして、僕に何が残る?
「進君。君は頭の良い子だ。
どうする事が一番良いのか、
もう既に考え始めて居ると思う」
「……」
「まだ時間はタップリ有る。
良いか、焦るな。
焦っちゃ、どんな策も愚考に終わるぞ」
「え…?」
「あぁ、えぇ…とだな……」
有難う、真田さん。
漸く僕、解ったよ。
どう知れば兄さんを説得出来るのか。
このままじゃ駄目なんだね。
僕はもっと、変わらなくちゃいけない。
昔の泣き虫の僕ではなく、
もっと強い僕を見てもらうんだ。
そうすればきっと
兄さんは解ってくれる。
僕の【本気】を。
言葉ほど簡単じゃない。
それは少しずつだけど自覚してる。
だからこそ、挫けちゃ駄目だ。
「進君」
「なぁに、真田さん?」
「俺は信じているぞ。
君が、君の力で未来を切り開く瞬間を」
「真田さん……」
「…応援してる」
真田さんはその後直ぐに
「守兄さんには秘密だぞ」と
付け加えるのを忘れなかった。 |