Änderung

勉学も訓練も、日一日と慣れていき
膨大な知識とプログラムに没頭する事が
俺達の【日常】となっていた。

あれからも相変わらず俺と島は、
お互いのプライバシーに口を挟む事無く
静かに時間を過ごしていくだけだった。

何も変わらない。
変化の兆しが見えない。
ただ、宇宙戦士になる事だけを考える日々。
俺にとっては出発点に戻っただけ。
だが…島は?
アイツの本来の目的は宇宙戦士ではなく…。

「古代」
「ん?」
「土方教官がお呼びだ」
「俺を?」
「お前と、…俺も」
「何だろうな?」
「さぁ」

島は少し首を傾け
何かを考えている様子だった。
そして、ゆっくりと口を開く。

「俺達の今後でも、決まるのかな」
「所属先か…」

口に出し、ふと無性に寂しくなる。
島はこのまま行けば間違い無く
【航海班】勤務となるだろう。

無論だ。
彼の夢は【船長】なんだし、
船を扱う技術や知識に掛けては秀でている。
そして彼はその為に此処に来たのだ。
当たり前の…結果である。

俺は、島と別れる事になる。
【戦闘班】所属を願い、それが受理されれば。
常に戦場に立って戦う身だ。
何時まで生きていられるか等判らない。

そう言えば…
加藤先輩や山本先輩も戦闘班を志願し、
今は艦載機乗りになったと聞いた。
南部先輩も戦闘班を志願していたが
彼は砲術関係に強かったから、
艦の砲撃に回るのだろう。

「古代?」

心配そうに島が声を掛けてくる。
あぁ、この表情だ。
あれから2年も経とうか、
それでも島は少しも変わっていない。
その優しさが命取りになったと云うのに…。

「少し考え事。
 何だろうな、土方教官の話って?」
「俺に聞いても判らないよ」
「それもそうか…。
 じゃあ、教官に聞きに行こう」
「そうだな」

その時はまだ気付かなかった。
俺達の未来が少しずつ
【固定】されている事に。

* * * * * *

共に廊下を歩きながら
俺は自分より少し背が高い島の横顔を見ていた。

『知らない』と返答していたものの
島は意外と堂々としており
微塵も不安を感じさせなかった。

コイツは案外…
土方教官の話の内容を
知っているんじゃなかろうか。
事前に知っていれば、
動揺する事も緊張も起こらない。

其処まで考えて、ふと気付く。
此処最近の島は
昔と比べて感情の起伏が少ない…
と言うか、曖昧な表情を浮かべては
感情を誤魔化している。
そんな小細工が巧くなった。

そうしなければ生きていけない程、
島は深く傷付いているのだろう。
まるで…俺自身を見ているかの様だ。

気付かなければ良かった、と
俺は少しだけ悪態を吐いた。
勿論、島に聞かれない様に小声で。

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SITE UP・2011.08.10 ©Space Matrix

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