Vergewaltigung

既に今は使われていない旧校舎の一角。
薄暗い教室に、奴等は居た。
ザッと数えて5人は控えている。
全員、顔はよく覚えていないので
恐らくは上級生なのだろう。

「来てくれて嬉しいよ、古代 進」
「……」

奴等はどうやら俺を【古代 進】だと思っているらしい。
それならば話は速いだろう。

「どうした、古代? 怖気付いたか」
「…下らない事をそろそろ止めてもらいたい」
「あぁ〜ん?」
「馬鹿馬鹿しいと言ってる。
 下級生に過ぎない俺なんか、大した事無いだろう」
「その【下級生様】が気に入らないのさ」
「じゃあ、どうしろと?」

『土下座をしろ』と言われれば、
してやっても良いと思っていた。
下らないプライドを盾にして
奪われずに済む生命の被害を増やしたくは無い。
古代の名に傷を付けてしまうだろうが
正直に話せば、彼なら許してくれると思っていた。

「そうだなぁ〜〜〜」
「?!」

頭部に衝撃を受けたのはその直後だった。
一発ではない、数発喰らった。
不意打ち、しかも至近距離からである。
流石に衝撃で俺は体を吹き飛ばされた。

「う…うぅ……」
「今からお前で遊ばせて貰うよ。
 俺達、暇を持て余してるからさぁ〜。
 付き合ってくれよ、優等生の下級生様」

下品な笑い声が脳に響いてくる。
血が流れているのか、視界が紅い。
駄目だ、意識が薄らいでいく。
それに…【俺で遊ぶ】とは、どう云う意味だ?

「ふ…っ? うぅぅ……っ!!」
「ほ〜ら、大きく息を吸いこんでぇ〜」
「はいはい。怖くない、怖くない」

意識だけではない。
体が全く動かない。
指一本動かす事が出来なくなっている。

『古代……』

薄れていく意識の中、俺は彼の名を呼んでいた。
果たして声に成っていたであろうか。
それは…もう、確認する事も出来ない。

* * * * * *

晩遅くなっても島は戻って来なかった。
俺は心配を抱えたまま、島のベッドで彼を待った。

眠れない。
一人じゃ眠れない。
怖いから、眠れない。

寝ると必ず見てしまう、あの夢。
過去の…俺のトラウマ。
俺と、あの人との間に流れた
屈辱と恐怖の記憶。

島が居てくれれば、不思議と見ずに済んだ。
だからなのか、俺は島の存在を求めた。
彼だけが俺に安息をくれる。
なのに…今、島は居ない。

「何処に行ってしまったんだ、島?」

書置きも無い。
こんな事は今迄に一度も無かった。
だから、余計に不安になる。

「島…。帰って来てくれよ……」

俺は半ベソを掻きながら
島の愛用する枕に顔を埋めた。

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