| File.1-12 |
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「チーフ、まだ上がらないんですか?」 戦闘機の機器チェックに集中していた俺は 加藤の声にハッとなり、慌てて顔を出した。 「お前、先に上がって良いぞ」 「いやぁ〜、今日の格納庫の最終点検…自分なんですよ。 だから、チーフの作業を終えてからじゃないと上がれません」 「俺が最終点検をしておくから上がれよ」 「良いんですか? チーフ自らがルール破って」 「破るんじゃない。順番を入れ替えるだけだ」 「そう云う事でしたら…お願いしようかな」 格納庫の入り口付近で人影が見える。 恐らくあのシルエットは山本だろう。 一緒に飯でも食いに行くつもりか、ならば待たせるのは悪い。 「俺だって偶には 戦闘機やオイルの匂いに包まれたい時だって有る。 良いから行け」 「はい! では加藤 三郎、お先に上がらせて頂きます!!」 ウキウキしながらも敬礼をし、足早に去って行く加藤。 その後姿を見守りながら 俺は彼等と最初に会った頃を思い出していた。 父と母を遊星爆弾で喪った後 俺は火星の宇宙戦士訓練学校へ進学した。 ガミラスへの復讐心、それだけが俺の支えとなり 俺は維持になって宇宙戦士としての資質を高めていった。 無我夢中の日々。周囲を見渡す余裕など無い。 それに、時折地球に居る家族と 楽しそうに団欒する学友の姿は 何よりも俺を苦しめ、追い詰めた。 勿論彼等に何の咎も無い事位解っている。 俺の…只の嫉妬心や我侭だと。 だが、どんなに望んでも俺には、もう……。 「おい、古代!」 「……」 「古代! おい、古代…」 「聴こえてるよ。何度も何度も五月蝿いな」 「聞こえてるなら返事位しろよ」 訓練学校の寮で、俺はコイツと初めて出会った。 島 大介。 後にヤマトにて俺が最も頼りとする相棒となる…男。 島には歳の離れた弟が居るらしく、面倒見が良い。 グループ演習等に於いても抜群のリーダーシップを発揮し 教官達の評価も頗る高かった。 出来る男と云うのは、得てして自慢をしない。 成績は俺といつも拮抗しており、航海術に関しては正に敵無し。 「それだけ俺を呼んだって事は… 何か重要な用事でも有ったのか?」 「何だよ、それ? 重要な用事が無きゃ、お前を呼んだら駄目なのか?」 「……」 「飯の時間だから、一緒に食いに行かないか?って 誘いたかっただけなんだがな」 「……」 「どうする、古代?」 島は人懐こい笑みを浮かべている。 同室の人間の誘いを無下に断る訳にも行かない。 どうするべきか。 「行こうぜ!」 「!!」 島は俺の返事を待たず、腕を取って 強引に食堂へと連れて行ってしまった。 |