File.1-13

近寄り難い。とっつき難い。
それが、学生時代の俺の決まった印象だ。
誰も寄せ付けず、誰にも縋らず。

だから、ルームメイトと云う以上に
島の存在は俺にとって大きかった。
何時だって島は、俺の味方だった。

或る日の食堂で、
俺は同級生達と激しく口論になった事がある。
口喧嘩だけならまだ良かった。
だが、彼等は俺に対する『禁句』を口走ってしまったのだ。

「俺達はな、お前の様に『個人的な復讐だけ』で
 勉強してる訳じゃないんだよ!」
「…何だとっ?! もう一回言ってみろッ!!」

俺は怒りに任せて、ソイツを殴った。
一発、二発…いや、もう数えられない。
馬乗りになって押さえつけ、何度も拳を叩き付けた。

「もう良い! 止めろ、古代っ!!」

取り巻きの見学人は数有れど、
俺を力づくで止めてくれたのは…島だけだった。

「もう良い。もう良いんだ、古代…」
「島……」
「もうお前が傷付く事は無いんだ。
 そんな奴等は捨て置けば良い……」
「……」

不覚にも俺は泣いた。
俺は島の胸に抱かれ、思い切り泣いたのだった。

* * * * * *

「思い出すなぁ…訓練学校時代を」

食堂で空腹を満たし、加藤はそのまま茶を飲みながら語る。
目の前に座っているのは、一期下に当たる山本だ。

「噂の新入生だった古代と島が…
 今や俺達の上官だよ」
「元々実力は有ったんだ。当然だろう」
「そうなんだけどさ、ほら…チーフは…」
「あぁ、『伝説の』問題児、だっけ?
 食堂での乱闘騒ぎも凄かったそうだし」
「俺はアレでチーフを見直したんだ。
 骨の有る男が漸く現れたって」

加藤は古代、島よりも二期上である。
戦闘員としての特別授業では必ず最上位を占めていたが
古代と島の出現で、その座をアッサリと明け渡してしまった。
だからこそ、興味が有ったのだが
島はともかく、古代の人嫌いは噂に持ち上がる程だった。

「学生時代は孤独を絵に描いた様な奴だったが…
 今のチーフを見てると、本当に安心するよ」
「加藤…」
「だが、複雑だよな」
「?」
「ガミラスを憎んでいるのは地球人として当然。
 古代は…人よりもその思いが強いだけだ。だが…」
「……そうだな」

加藤はそれ以上言おうとはしなかった。
山本の方も理解してくれているだろう。

「加藤」
「何だ、山本?」
「俺はどんな事が起こってもチーフの味方だから」
「…当たり前だろう!」

加藤は少し怒ったような声を上げる。
それを見て、山本は驚く訳でもなく苦笑を浮かべた。

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SITE UP・2010.02.13 ©森本 樹

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