| File.1-18 |
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時々、島が怖くなる。 ゾッとする程冷めた目付き。 普段の温和な表情からは 窺い知る事すら出来ない。 航海班の班長をしているから 戦えない訳ではない。 知らない人間が多く居る様だが 戦斗の実地訓練に於いて 島の成績は常に俺と肉薄していた。 彼が航海班を目指さなければ 成績だけで戦斗班のトップに 踊り出る事だって有り得た。 そう、もしかすると 戦斗班の班長は俺でなく、 島だったかも知れないのだ。 俺は一体、何の為に此処に居るんだろう。 時々とても不安になる。 俺は島の様に器用でも無いし、 人を使う事が巧い訳でも無い。 戦斗班長の任を拝命してはいるが 戦斗を取り上げられてしまったら 俺には何も残らない。 俺は…島とは違う。 アイツの様に、何でも出来る訳じゃない。 島は俺の顔を覗き込み 一瞬怪訝そうな表情を浮かべた。 直後、突然アイツの手が 俺の髪を乱暴に掻き乱す。 「?」 「下らない事、考えてたろ」 「…島?」 「お前の顔を見れば判る」 「……」 俺も思わず島の顔を見つめた。 いつもと変わらぬ、柔和な表情。 俺が一番好きな、島の笑顔。 「俺の負担になるって心配してくれたんだろ?」 「あ…あぁ……」 「大した負担にはならんよ。 真っ向から相手と遣り合う訳じゃない」 「そ、それはそうだけど…」 「俺はな、古代」 「ん?」 「どんな相手からもお前を守ると誓ったんだ」 「……」 「この宇宙と、紅い地球に、な」 「島……」 島はそう言うと珍しく頬を朱に染めていた。 余程恥ずかしかったのだろうか 鼻の頭を掻き、視線を逸らしている。 そんな仕草がとても子供っぽくて 俺は何だか嬉しくなった。 『俺と同い年だって事… こう云う仕草をすると、本当に良く判る』 思わずクスクスと笑い声を立てるが それがどうも島の癪に障った様である。 今度は急に頬を膨らませ、 俺を乱暴にベッドへ押し倒した。 「…てぇ! 何するんだよ、島っ?!」 「笑い過ぎだっ!!」 「仕方ないだろ? 可笑しかったんだから…」 「…古代ぃ〜〜〜」 「な、し…っ?!」 息が止まるかの様な長い長い沈黙。 感じるのはお互いの体温だけ。 唇から伝わって来る、互いの存在感。 愛している。 こんなにも強く求めている。 そして、こんなにも強く求められている。 俺だから、コイツだから。 それ以上は、言わなくても解る。 逆に言葉は無用で、邪魔なだけ。 何も要らない。 何も必要とはしない。 そんな空間が、確かに此処に在る。 |