File.1-20

疲れ果て、そのまま服も着ないで眠ってしまった。
抱き合う様に、寄り添う様に。
お互いの体温を直に感じながら
心も体も温め合いながら。

「ん……」

最初に目覚めたのは古代だった。
穏やかな表情で、そっと島の寝顔を見つめ
本当に嬉しそうな笑みを浮かべる。

「シャワーを浴びてくるか。
 何時呼び出しが掛かるか判らんのだし」

出来るだけ島を起こさない様にと気を付けてはいたのだが
握り締められた手から、彼の覚醒を知る。

「あ、済まん。起こしてしまったか?」
「いや…俺もそろそろ起きようと思っていた所だ」
「そうか…」
「シャワーか? 進」
「ん? あぁ…」
「なら一緒に浴びよう。
 その方が時間を短縮出来る」
「…そうだな」

色気の無い誘い方だが、
その方が寧ろ『島 大介』らしくて良い。
古代はそっと前髪を掻き上げ
非常灯の方に視線を送った。

「どうした?」
「いや…アレが鳴らないのは良い事だな、と思ってさ」
「そうだな…」
「出来れば永遠に鳴って欲しくないものだ」
「まぁ…流石にそれは難しかろう」

話の途中だが、島は古代を浴室へと促す。

「噂をすれば影、だ。
 アレが鳴り出す前に何時でも出向ける様
 俺達も準備をしないと駄目だろう?」
「そうだな…」
「流石に致した後、そのまま第一艦橋へは行きたく無いぞ」
「ははは! そりゃそうだ!!
 相原や南部達の格好の的になっちまう!」

言うが早いか、古代は小走りで浴室へ。
それを見守りながら、
島は慣れた手つきで二人分の着替えを用意していた。

* * * * * *

「これから果てしなく長い航海が続く。
 正直、これは自分との戦いだと思って良い。
 自分に負けたら、其処で終わりだ。
 だから挫けそうな時は必ず思い出せ。
 愛する地球を、残してきた仲間や家族を。
 そして……」

第一艦橋内。
珍しく真田がクルー全員に喝を入れていた。
言葉の途中、彼は一瞬だが古代を見つめ
それから発言を再開した。

「そして、共に運命と闘う仲間達の事を。
 どんな過酷な旅が待ち受けていようとも…
 我々は絶対に弱音を吐かん! 以上だ!!」

共に運命と闘う仲間達。

重く心に響く言葉だった。
古代は自然と手を叩く。
そしてそれを見た島が、雪が、クルー達が
感謝の意を篭めて拍手を真田に送る。

「止せ、止せ!
 そんな大した事じゃない」
「いえ、真田さん。
 とても大切な事ですよ」
「古代の言う通りです。
 我々は常に一人じゃない。
 仲間達と共に旅立ったんだから」
「えぇ、真田さん。
 気付かない位当たり前の事かも知れないけど
 だからこそ、何よりも大切な事だわ」
「古代…島…雪……。
 有難う…」

「さぁ、行くぞ!
 目標、イスカンダルっ!!」

古代の号令に全員が答える。
ヤマトは、改めて進路をイスカンダルに向け出発した。

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SITE UP・2010.02.20 ©森本 樹

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