File.2-1

冥王星。
嘗てガミラス帝国の対銀河系前線基地が存在していた場所。
その冥王星を目指して数隻の艦隊が進んでいる。

他の艦隊と比べ、明らかに違うフォルム。
ガミラス帝国総統、デスラーの乗る艦である。

「ヤマト…。
 滅びを待つ惑星から飛び立った一隻の戦艦に
 冥王星基地部隊が全滅…か」

配下のヒス将軍から詳細な情報を聞き出し、
デスラーは地球を飛び立ったその戦艦に
そして、その勇敢な乗組員達に興味を示した。

「ヤマトの艦長は?」
「はい。確か…オキタジュウゾウ、と」
「ふむ…。オキタ……。
 以前にも対戦した事が有るのではないか?」
「恐らくは…。なかなかの勝負師と思われます」
「そうだろうね、ヒス君。
 圧倒的不利な状況下で勝利を収めるには
 運を味方に付ける才能と努力が必要不可欠なのだよ」
「は……」
「ヤマト、か…。このままにしておくのは危険な艦だ」
「デスラー様……」

「しかし」
「…?」
「所詮は『軍艦』…。
 『頭』を抑えられては、身動き取れまい」
「デスラー様…それでは……」
「当初の目的を少し変更しようか、ヒス。
 タランを呼べ。
 そして、バラン星に向かっている筈のドメルを
 冥王星に向かわせろ」
「はい、デスラー様。早急に…」

ヒスは一礼すると、急ぎ足でその場を後にする。
ワイングラスを片手に、デスラーは不適に微笑んでいた。

「放射能除去…か。
 何もイスカンダルだけの技術では無いのだよ」

モニターに映し出された赤い惑星、地球。
地表はほぼ生物が生息出来ないにまで変貌し、
人類は地下に都市を作って抵抗を続けている。

「唯一、このガミラスに対抗出来る存在…ヤマト。
 そのヤマトを手元に残しておかなかった事こそが
 地球軍の最大の汚点だったと、教えてやろう」

グラスの中のアルコールが微かに揺れる。
それに伴い、芳香が鼻腔を擽ってきた。

「イスカンダルから動力関係の知識を得たヤマト…。
 しかし、俄か仕込みの技だけで
 イスカンダル迄到達するには、相当の時間を有するだろう。
 地球に引き返すにも時間のロスが生じる。
 二兎を追う者、一兎をも得ず…だった、かな。
 地球に古くから伝わる格言、正にその通りだ」

酒でそっと咽喉を潤し、モニターに映る地球を眺める。
嘗ては『碧い宝石』を称された、太陽系第三惑星。
海が枯れ果て、地表も剥き出しになった惑星は
火星のそれと大差無い赤く爛れた姿を晒していた。

「勝負は既に着いているのだよ…地球の諸君」

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SITE UP・2010.5.1 ©森本 樹

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