| File.1-3 |
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それは突然起こった。 今後の進路を決定する作戦会議。 第一艦橋内では真田さんが現状を報告し 各班長がそれに応じて自身の考えを述べていく。 日常的な会議の筈だった。 いつもと違ったのは、俺が意見を述べた直後。 島が急に態度を硬化させて反論して来たのだ。 「古代の策では時間が掛かり過ぎます。 自分は反対です」 「しかし、島。強行突破すればヤマトとて…」 「ヤマトの装甲と自分の舵裁きで乗り越えられます。 理論的に不可能では無い筈です」 無茶は俺の専売特許だ。 俺がこんな提案をしたなら、 恐らく真田さんは苦笑を浮かべながら却下するだけ。 それで万事収まる筈だ。 だが、島は少し性質が悪い。 なまじ頑固なだけに、諦めが人一倍悪いのだ。 それは学生時代から熟知している。 巻き沿いで居残り訓練させられた事だって 数えていくとキリが無い。 「島、お前の案は突拍子が無さ過ぎる」 それまで沈黙を守っていた沖田艦長が 静かに口を挟んだ。 「艦長…」 「先程お前はこの状況を 『ヤマトの装甲と自分の舵裁きで乗り越えられる』と言った。 それは随分と暴言ではないか?」 「……」 「ヤマトはお前だけで操舵している訳じゃない。 此処に居る乗組員全員の力で動いているのだ。 それを忘れてはいかん」 島は何も言わず俯いている。 暴言、とまでは言わないが 頭に血が上った事で 言わずともよい言葉が口を吐いたのだろう。 それを自覚する事で どれだけ島自身が傷付いたか…。 「失礼します」 「…島!」 いきなり島は会議の途中だと云うのに艦橋を後にする。 流石の真田さんもこれには言葉が無い。 「済みません、俺…話をしてきます」 「古代…」 「島をあのままにはして置けません。 少し、時間を下さい」 「だがな、古代。 お前が行っても逆効果に成りはしないか? 最近の島の態度を見ていると お前の言葉を素直に聞くとは思えんのだが…」 「それでも」 俺は更に言葉を続けた。 「戦友として、親友として… 俺はアイツをこのままにはしておけないんです」 「古代……」 真田さんは何かを言おうとした様だったが 一瞬 艦長に視線を移した後、敢えてその言葉を飲み込んだ。 「解った。島を…頼む」 「はい!」 既に廊下に向かってしまった島を追う為 俺は一礼すると急いで艦橋を飛び出した。 島は丁度、俺の部屋の前を通過している所だった。 やはり相当足取りは重い。 「島!」 俺が後方から呼ぶと、 一瞬驚いた表情を浮かべたものの 直ぐに今迄同様の冷たい視線に戻る。 「島…話が有るんだ」 「俺には特に無い」 「お前には無くとも、俺には有るんだ」 島の両腕を取り、俺は必死に言葉を続ける。 「話だけでも聞いて欲しい」 「……」 「廊下で立ち話もなんだし… 俺の部屋で話さないか?」 「……」 「頼む…島……」 「……」 島の目が一瞬だが、 とても寂しそうに見えたのは 俺の気の所為だったのだろうか。 それからどの位沈黙が続いただろう。 「…解った」 島は漸く、俺の訴えを聞き入れてくれた。 |