File.1-4

こうして島が俺の部屋に入るのは久しぶりだ。
それこそ学生時代はずっと同部屋で気心が知れ、
ヤマトに乗り込んだ当時も互いの部屋を行き来していた。

今迄暗く沈んでいた自室が
島を入れた事で急に明るくなった様な気さえする。

勿論、そんな事を喜んでいる場合ではない。
俺は…島の現状をどうにかしたかった。
俺達の間に流れるこの冷たい空気を
何とかして打破したかった。
ずっとその機会を心待ちにし、
漸くチャンスが巡って来たのだ。

「島、何か飲むか?」
「…要らん」

リラックスさせようと思ったが
にべもなく断られる。
島にとって此処は居心地の悪い場所でしかない。
そう思うと、やはり心苦しくなる。

「話は、何だ?」
「…さっきの会議なんだが」
「ぶり返したいから、態々俺を呼び止めたのか?」
「違う。そうじゃなくて…」

会話が噛み合わない。
アイツの態度は端から喧嘩腰だ。
取り付く島も無いって、こう云う事か。

「話が無いのならば帰るぞ」
「島っ!」

正直、俺は真田さんの様に利口じゃないし
沖田艦長の様に大人でもない。
いつまでもこんな態度で出られれば
流石に堪忍袋の緒が切れる。

「いい加減にしてくれ、島!
 一体俺の何が気に入らないんだ?
 言いたい事が有るなら、はっきり言えよ!」

突然大声を張り上げた俺に対し
島は流石に怪訝そうな顔をしている。
そして、大きく溜息。

「古代」
「…何だ?」
「お前、随分と艦長に気に入られてるよな?」
「……」

気に入られているのかどうかは別として、
確かに最近俺は艦長と良く会話をしている。
それは…俺にも俺なりの理由が有るし、
基本的には人生相談に乗って貰っているだけだ。

そんな事が気に入らないと言うのだろうか?
だが、次の島の一言で
俺は奈落に突き落とされる様な衝撃を受けた。

「身体で信用を勝ち得たって事だろう?」
「?!」
「俺は知ってるんだよ、古代。
 お前が艦長とデキてるって事をな」
「…島?」
「そんな浅ましい奴だとは思わなかった」
「どう云う…意味だ…?」

何を言っているのかが全く理解出来ない。
俺が、艦長と…?
身体で…信頼を得た?
どうして? 何故、そんな事を言い出すんだ?

「俺は見てしまったんだよ。
 誤魔化したって駄目だ」
「違う…。誤解だ、島。そんな事……」

「全裸のお前が艦長のベッドで何をしていたか。
 見てれば推察も着くだろう?」
「違う! そうじゃないっ!!」
「そんなに騒ぐなよ。
 他の奴等に知られても良いのか?
 お前はともかく、艦長が迷惑するだろう」
「…島?」
「俺はお前の様なヘマなんてしない。
 部屋の施錠は入室の際、確認済みだ。
 助けを呼んだって無駄だからな。
 恥を掻くのはお前だけなんだ」
「…し…島……」

島の表情がまるで判らない。
目の前に立っている筈なのに、
顔がよく見えない。
パニックに陥っているのは視力だけか?
それとも…俺の耳か? 頭か?

そうこうしている内に
俺の上半身はベッドに叩き付けられていた。

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SITE UP・2010.01.15 ©森本 樹

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