| File.1-8 |
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何時の間に眠っていたんだろう? 体が妙に重い。 だが、不思議と気分は清々しい。 厳しいトレーニングを自ら課して その課題をクリア出来た時の、 あの時の達成感に酷似している。 不意に背後から誰かの気配を感じて 俺は慌てて体勢を変えた。 「島……」 其処にはキチンと制服を着た島が立っていた。 酷く思い詰めた表情で俺を見ている。 「島…」 俺は何か声を掛けようとして体を起こしたが 激痛で立ち上がる事が出来なかった。 酷く痛む。 体の節々が、それに…。 此処で漸く俺は島と『致した』事を思い出した。 そうだ、この部屋で俺達は…。 「古代…」 島が俺の名を呼ぶ。 慌てて顔を上げると… 島は今にも泣き出しそうな程 沈痛な表情を浮かべていた。 「し…」 「済まない、古代」 「…島?」 「済まなかった……」 島はそのまま扉のロックを解除し 静かに部屋を後にする。 そして、暗い空間には俺一人。 その後姿を見送る事しか出来なかった。 腹立たしいのは…俺のこの体たらくぶり。 「くっ……」 島がどんな思いで謝罪を口にしたのか。 それに対して、俺は何も出来なかった。 声を掛ける事すら、出来ずに居た。 却って不必要に深く島を傷付けてしまった。 「くそっ…!」 身体の痛み等、もうどうでも良い。 間接が、筋肉が、島と繋がっていた箇所も ギリギリと激しく痛みを訴えるが それは俺の怒りを増長するだけに過ぎない。 「畜生っ!!」 俺はベットを思い切り何度も殴りつけ、叫んだ。 それしか、出来なかったのだ。 張り裂けんばかりの怒り、悲しみ。 言い様の無い後悔。 叫ぶ事でしか、 それらを発散出来そうも無かった。 俺は心底自分を軽蔑し、恨み、嘆いた。 己の不甲斐無さを、浅はかさを。 そして…無力さを。 島が部屋を出て行って半時間経っただろうか。 どうにか体の痛みを誤魔化しながら 俺は慌てて第一艦橋に向かった。 島が其処に居てくれる事を信じて。 だが、期待は外れた。 いや、寧ろそれが【正解】だ。 どの面を下げて艦橋に戻れるだろう。 冷静に考えれば、解る事なのに…。 「古代。島は…」 俺は直ぐ真田さんに捕まった。 ずっと待っていてくれたのだから これも当たり前の話。 「入れ違いだったみたいですね。 島の部屋を訪ねてみます」 「それは良いのだが…」 真田さんは顎に手を当てながら 心配そうに俺を見つめてくる。 「…何ですか?」 「気の所為だと、良いのだがな」 「…はい?」 「お前…酷く疲れた顔をしているぞ。 島も心配だが、少し休んではどうだ?」 流石は真田さん、と言った所か。 体調不良は簡単に見抜かれていた。 だが…俺の所為で島は……。 「島と会って、もう少し話をしてみます。 それから2時間程休養を貰いますから」 「…無理だけはするな」 「はい、有難う御座います」 真田さんはもう何も言わなかった。 その細やかな心遣いに感謝しつつ 俺は再度、艦橋を後にした。 |