| File.1-9 |
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島の部屋は堅く扉が閉ざされていた。 心配そうに扉の前で立つ雪の姿を見付け 俺は慌てて駆け寄った。 「雪。…島は?」 「……」 雪は哀しげな表情を浮かべて首を横に振る。 どうやら、扉を開けてもらえなかったらしい。 一人きりの部屋で、 アイツは何を思っているのだろう? 自分を酷く責めては居ないだろうか。 心配で、不安で、仕方が無い。 「俺が島を説得してみるよ」 「古代君…」 「俺に任せてくれないか、雪」 「…そうね」 雪はゆっくりと頷き、 そっと俺の手を握ってきた。 「きっと、女の私じゃ力に成れない。 でも…貴方なら……」 「雪…」 「島君をお願いね、古代君」 「あぁ、勿論だ」 俺は雪の手を力強く握り返し 目一杯微笑んでみせる。 心配は要らない。 俺が必ず、必ず島を立ち上がらせてみせる。 どんな事が有っても、挫けたりはしない。 そう、必ず…。 扉の外から解除依頼が届いている。 また森君だろうか。 そう思い、モニターを映すと 其処には森君ではなく、古代が立っていた。 あの莫迦。 また、何をしに来たと言うんだ? あんな目に遭わされたと云うのに 凝りもせずノコノコと。 『島。俺だ、古代だ』 モニターの古代は必死に語り掛けて来る。 『島。扉を開錠してくれ。 お前と話がしたいんだ』 静かにモニターの古代を眺めながら 俺はまだ思案していた。 開けるべきか、それとも…。 古代はまだ 扉に備え付けて有るカメラに語り掛けている。 出来れば、今直ぐにでも開けたい。 扉を開け、古代を抱き締めてやりたい。 だが…俺にそんな資格等有るのだろうか。 『島…。俺は此処で待つ。 お前が開けてくれる迄、何時までも待つよ…』 古代…お前は本当に莫迦だ。 どうしてそんなにも優しいんだ? どうしてそんなに俺と話したがるんだ? 俺は、無意識の内にドアロックを解除していた。 独特の解除音が耳に届く。 どうやら島は俺を部屋に入れてくれるらしい。 声が届いたと思って良いのだろうか。 いや、そんな事を気にしている場合では無い。 俺は急いで扉を開け、足早に部屋に入る。 部屋に明かりは灯っておらず、 モニターの青白い灯が島の顔を照らすのみ。 その姿がまるで死人の様にすら映り、 俺は思わず息を飲んだ。 このまま遠くに行ってしまいそうな気さえして、 俺は思わず島の腕を掴んでいた。 不安で堪らなかった。 それ程、見ているだけで辛い表情だったのだ。 |