| File.2-8 |
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俺は航海班長として、 ヤマトがスケジュール通りに運行し、 無事にイスカンダルに到着する事を 常に第一として考えている。 だから、戦闘の有無に関してのみ発言すると 『無いに越した事はない』と返答する。 それが、航海班長としての模範解答だろう。 しかし、古代 進の友人として 敢えて発言を求められるとしたら… 今の状況は決して好ましいとは言えないだろう。 戦斗班長としての古代は 実に堂々としていて、好戦的で、 自分の判断に迷いの無い人物に映る。 しかし、実際の古代はその真逆。 いつも悩み、迷い、苦しむ。 然もそれを誰にも打ち明けられず、 たった一人で苦しみ抜いてしまう。 それが見ていられなくて、切なくて。 俺は何度、目を背けてしまっただろう。 その度に逃げた事を悔やみ続けた。 こうしてヤマトに乗り込んでからも 数度、古代は自身に何かを溜め込もうとした。 実際に溜め込み、それを見抜けなかった事も有る。 そう。あの時だって。 孤独と戦う古代の心に 俺がもっと触れていれば…。 止そう。 過ぎた事だ。 どんなに悔やんでも… 俺が古代を傷付けた事実は変わらない。 事実から目を背けたところで 新しい発見が有る訳でもない。 傷付き、傷付けられ、 それでも俺達は生きている。 生きて行かなければならない。 逃げる事は最早、許されないのだ。 「大介……?」 険しい表情でも浮かべていたのだろうか。 古代は心配そうに俺を見つめてくる。 不安げな瞳。 「…もう、休むか」 「航海日誌は、書けたのか?」 「あぁ。問題無い」 「じゃあ、一緒に寝よう」 「…解ったよ、進」 柔らかい栗色の髪をクシャッと掴み 俺は優しく古代の頭を撫でてやる。 次郎と同じ様に こうされると古代は安心した表情を浮かべるのだ。 親友であり、ライバル。 そして、俺達の絆はきっと… 【兄弟】のそれとも似ている。 掛け替えの無い存在。 古代の体温で程好く温まったシーツに身を委ね 目を閉じて、更に思いを廻らせる。 14万8000光年先に存在する、 大マゼラン星雲の一惑星。 人類が未だ知らない、宇宙の果て。 其処に、本当に俺達の求める物は有るのか? 俺達の求める未来が存在しているのか? もし、その当てが外れたら。 俺達は一体どうしたら良いのだろうか? 疲れているんだろうか。 先程からどうも、発想が悲観的だ。 日常から【戦闘】が見えなくなっただけで こうも不安になってくるものなのだろうか。 結局俺も、航海士とは言えど宇宙戦士。 戦場でしか生きる事が出来ない存在なのだろう。 |