| File.3-1 |
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ヤマトクルーに衝撃が走った。 地球連邦政府の発表と 地球防衛軍の命令に。 信じ難い内容。 「地球の…全面、降伏…?」 古代は自分の耳を疑った。 信じたくなかった。 地球を救う為に始めた航海。 それもまだ、道半ばにも満たず。 イスカンダルの女王は 今もヤマトを待っているだろうに。 地球はヤマトを捨てたのだ。 「……艦長」 重々しい声で、古代は問い掛ける。 「イスカンダルへ、向かいましょう。 ヤマトだけでも…。 ヤマトが行かなければ…地球は……」 「行っても、二度と地球には戻れんぞ…古代」 「沖田艦長……」 「地球は、ヤマトを裏切り者と見なすだろう。 たとえ放射能除去装置を 無事に持って帰ったとしても、だ」 「そんな…っ!!」 「古代…我々は宇宙戦士だ。 そして…地球に属する、軍人でもある。 政府と軍部が意見を統一させた以上 それに従わなければならない」 「……」 「ワシはな、古代。 皆、大事なんだよ。 乗組員の全員を、守りたいのだ…」 「艦長…」 「堪えてくれるか、古代?」 「……」 もしかすると 今一番苦しんでいるのは… 自分ではなく、目の前のこの人かも知れない。 偶然知り得た情報では 沖田艦長は…先の冥王星会戦で 1人息子を亡くしているらしい。 以前、徳川が語った内容からすると 乗り込んでいた船はもしかしたら 兄、守が艦長を務めた ゆきかぜだったかも知れないのだ。 『それでも艦長は… 俺に何も言おうとはしなかった。 ずっと優しく見守ってくれていた…。 俺に、何が出来るんだろう? 今の…俺に……』 古代は苦悶していた。 生きる指針ともなっていた家族の敵討ち。 それを奪われて尚 果たして自分は生きていけるのか、と。 『教えてくれ、兄さん。 俺は…一体、俺は どうすれば良いんだっ?!』 食堂で遅い昼食を摂っていると 心穏やかでない話し声が聞こえてくる。 こんな事ならば簡易食で済ますべきだった。 島は眉間に皺を寄せながらも 静かに耳を傾けていた。 「どうした、島? 食が進んでないじゃないか」 「…真田さんこそ」 「どうも食欲が湧かん」 「俺もですよ」 「お前はとにかくもう少し太れ。 そんなにやせ細っていては 地球で暮らすご両親が心配するだろう?」 「…地球、ですか」 「……島」 「どの面下げて…帰れば良いんですか? いい恥曝しですよ、俺達」 「…言うな、島」 「……済みません」 2人はそのまま俯いた状態で 一言も語ろうとせず、 強引にパンを口に詰め込んでいた。 |