| File.3-10 |
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いよいよ地球に到着する。 この旅も、遂に終わり。 明日には地球の軍港に到着する。 そんな日の晩。 島はコッソリと様子を窺いながら 俺の部屋へとやって来た。 「…大介? 今、多忙の筈じゃ」 「逃げて来た」 「逃げてって…?」 「もう誰が操縦しても 間違い無くヤマトは地球に到着する。 此処での俺の仕事は終わったよ」 「しかし……」 「これから先は…お前と過ごしたい」 「大介……」 任務よりも、俺を選ぶと言うのか? お前にとって俺は…。 本当に、俺なんかで…? 「愛してるんだ、お前を」 「大介……」 「その優しいトーンで 名前を呼ばれる事が…何より嬉しい」 「大介…それは、それは俺も同じだ。 お前の低くて落ち着いた声で名前を呼ばれると… こう、胸が高鳴って高揚するんだ」 「進……」 「幸せだった…。 お前と出会えて、お前とこうして旅が出来て…」 「…俺もだよ、進。 愛してる。最愛の、俺の進……」 「愛してるよ、大介…。 俺には…お前だけだ……」 未来の無い俺達にとって こうして愛を語り合うのも… これが最期になるかも知れない。 今少の別れ。 それを俺達は痛い位理解していた。 「離さないでくれ、俺を…。 お願いだ、大介……」 「離すものか…。 地獄でも何処でも、付いて行くぞ」 「大介……」 「俺は本気だからな、進…」 「うん……」 灯を落とし、俺達は静かに抱き合った。 深く愛し合う事も出来た筈。 だが、お互いに其処まで踏み込めなかった。 遠慮していたのか。 それとも…見えない未来を信じていたのか。 地球は…静かだった。 俺達を見送ってくれたあの盛大なパレードが まるで嘘の様な静けさ。 一人、又一人とヤマトを降りて行く中 俺は何時までも自室に留まっていた。 やはり、離れたくは無かった。 既に荷物は運び出され、 何も無い部屋なのに。 「古代」 「…島」 「迎えに来た。俺達が最後だ」 「…そうか」 「雪君と真田さんが待ってる」 「艦長は…?」 「艦長は佐渡先生と先に降りたよ」 本当に此処には俺達しか残ってないんだ。 そう思うと、悲しみが込み上げてくる。 「進……」 「!!」 島は…殆どいきなりの様な感じで 俺の唇を奪ってきた。 そのまま暫く、唇が重なったまま。 アイツの体温が優しく届く。 息を止めて、このままで居たい位に…切ない。 「俺と一緒に来い、進。 俺と一緒に暮らそう」 「大介…?」 「俺の家族も、それを望んでいる」 「…お前?」 「先程、コッソリと回線を拝借してな。 親父と話を付けておいた。 お前と一緒に帰って来るのを 楽しみに待ってるそうだ」 「…!!」 俺が部屋でぐずぐずしている合間に 島は俺のこれからを危惧して動いていた。 また、俺はコイツに助けられた。 「もう一人じゃない。 独りぼっちにはしない。な?」 「…帰ろう、大介。 俺達の家族の元に……」 「あぁ…。帰ろう、進……」 そっと肩を抱き締められ、 俺は漸く…自室を後にする決心が付いた。 |