| File.3-9 |
|---|
俺達の恐れていた事は 幾分か回避されるかも知れない。 藤堂長官との通信内容から 俺は少なくともそう判断した。 『ヤマト乗組員の処刑』 どうやらガミラスは それを望んでいないらしい。 俺が奴等であれば 恐らく…皆殺しを選択するだろう。 反撃のチャンスを有する、然も集団。 唯一、ガミラス帝国に 苦杯を舐めさせた存在。 ヤマトの存在は、地球だけではなく ガミラス帝国に対しても巨大だ。 大抵の乗組員は これで安心して地球に帰り、 愛する家族や恋人と 再会する事が出来るだろう。 もう戦争は無いのだから そう云うクライマックスも悪くない。 だが…俺は違う。 仮にも組織の責任者。 そして…ヤマトを操舵してきた存在だ。 只で済むとは思っていない。 死ぬ事は恐れていない。 古代と一緒に居られるのであれば 例えそれが地獄であろうとも 俺は笑顔で向かう事が出来るだろう。 家族と、次郎と再会出来なくても それは…仕方の無い事だと 外宇宙に飛び出した瞬間に悟っている。 安心して眠る古代の表情を見つめながら 俺は紅い故郷の星を思い出す。 間も無くヤマトは地球に帰る。 その様に、俺は舵を取る。 何も出来ないまま、おめおめと帰還し その先に有るのは投獄だろうか。 何の為に宇宙戦士に成ったのか、 何の為にヤマトの航海班長に成ったのか。 振り返るたびに空しくなって 思い切り壁でも叩いてやりたくなる。 『島さん』 太田の声で通信が入る。 第一艦橋に居ない時は何時も此処に居ると 彼等は承知しているからこそ、 迷う事無く古代の部屋に通信を入れてくる。 「どうした、太田?」 『ヤマトのワープ準備に掛かるそうです。 至急、第一艦橋に戻って来て下さい』 「…解った」 伸びに伸びた地球への最終ワープ。 もう、逃げる事は許されない。 「進…。行ってくるよ」 そう呟く様に囁き、 俺は古代の頬に口付けを送った。 後何回、コイツにこう出来るだろう? 微かにそんな事が脳裏を過ぎった。 俺が怪我をしてから 島は忙しさも重なって、 余り肌に触れてくれなくなった。 互いに癒し合う様に求めてた あの頃が酷く懐かしい。 こんなにも誰かの事を 強く、激しく想った事は無かった。 アイツだから良い。 アイツだから、触れさせる。 アイツだから、触れて欲しい。 だけどもう、こんな風に 抱き合ったり、愛を確かめ合ったり… 2人きりで居る事は叶わない。 地球への帰路も最終段階に入り 航海班長である島は益々多忙になる。 地球に帰りたくない。 俺はずっとヤマトで… 島と一緒に居たい。 |