File.3-12

防衛本部の長官室に居たのは…
藤堂長官、唯 お一人だった。

「諸君…。御苦労だった」

長官は沈痛な面持ちで
俺達を見つめている。
色んな思いが交差して
何も言えなくなる。
胸が詰まって苦しい。

「君達に会わせたい人物が居る」
「会わせたい…ですか」
「そうだ。先方の希望でな。
 それで、諸君等に来てもらった訳だ」
「……」

沖田艦長の表情が一層険しくなる。
同様に変化したのは真田さんと…
驚くべき事に、島もだった。

「島?」

不安を感じ、俺は思わず声を掛けていた。

「…これ以上」
「ん?」
「これ以上、お前を
 苦しめて欲しくはないのに…」
「島…」
「お前だけは…守りたいのに……」
「島……」

軍上層部が会わせたい人物。
それは…恐らくガミラス帝国の
将軍クラスなんだろう。
敗戦した兵士の泣きっ面でも
拝みに来るつもりなんだろうか。
全く…お気楽なご身分である。

「俺は大丈夫だよ、島」
「古代……」
「俺にはお前が居てくれる。
 だから、大丈夫だ」

そう、島が居てくれるから
俺はもう独りぼっちじゃない。
だから、大丈夫だ…と。

俺はこの時、そう信じていた。

* * * * * *

「ヤマトの乗組員が到着した様です」
「…そうか」

デスラーは椅子に腰を掛けたまま
窓に映る無機質な風景を見つめていた。

「タラン」
「はい」
「先程の話、どう思う?」
「先程の…ですか」
「正直に言っても良い。
 お前は実直に私に仕えてくれる存在だからな」
「では、御言葉に甘えさせて頂きます」

扉の向こう側に気配を感じないのを確認してから
タランはゆっくりと口を開く。

「ガミラスへの忠誠の証として
 ヤマトと責任者の身柄を譲り渡すとの事。
 私は全く信用出来ないと思われます」
「ふむ……」

「少なくともヤマトは地球を救う為にと
 我々ガミラス軍と交戦を続けておりました。
 気骨ある集団。
 なかなか手強く、高く評価しておる次第であります」
「…成程」

「例え敗戦したとは言え、
 自国を死守してきた英雄をこうも簡単に
 捨て去る事が出来るとなると…
 この星の首領は聊か思慮が物足りぬ人物ではないかと」
「それは私も思っていたところだ」
「左様で御座いましたか」

「ヤマトの価値を過小評価している所…
 もしかすると、もしかするかも知れん。
 タランよ、引き続き警戒を緩めぬ様に心せよ」
「御意に御座います」

タランは恭しく頭を垂れると
静かに部屋を後にした。

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