| File.3-13 |
|---|
案内された部屋に通された瞬間、 俺は頭の奥で 何かが割れた音を聴いた気がした。 全身の血が逆流している。 あの男を見た瞬間からだ。 腰のホルスターにはまだ コスモガンが抜かれずに入ったままだ。 そう、兄さんの…守兄さんのコスモガン。 兄さんの…遺品であるこの銃で 俺は父さんと母さん、そして兄さんの仇を 今度こそこの手で……っ!! 古代の異変を、沖田は瞬時に読み取っていた。 そして本能的にだろう。 彼は自分の携帯する杖で 古代の右手からコスモガンを叩き落としたのである。 「?!」 当然、古代は納得が行かなかった。 自分の気持ちを良く知る沖田だからこそ 見逃してくれると思っていたのだ。 「…沖田さん、何故……?」 「短慮を起こすなよ、古代。 今はまだ、その時では無いのだ……」 「……」 復讐も果たす事が出来ない。 それすらも許されない身。 『俺は一体何の為に… 何の為に此処に居るんだ……?』 古代の視線は下を見つめたまま、 微動だにしなかった。 「古代……」 見かねた島が声を掛け、 肩に優しく手を掛けても尚 古代は指1本動かさない。 「ようこそ、ヤマト乗組員の諸君」 先程はあわや射殺されかけたと云うのに 目の前の人物は実に堂々としていた。 「最近は刺激が足りず、 つまらぬ思いをしていたところでね。 その殺気、流石は戦士だけある。 久々に楽しめたよ」 「貴様……っ!!」 「止せ、古代っ!!」 紅いマントを翻す。 目の前に居る人物の迫力は 古代もよく理解出来ていた。 だからこそ余計に怯めなかった。 否、怯む訳にはいかなかったのである。 握った拳を開く事も出来ぬまま 只、古代は目の前の人物を睨み付けていた。 「改めて、ようこそヤマトの諸君。 私の名はデスラー。 ガミラス帝国の総統、デスラーだ」 自分達、敗者を見下す訳でもなく デスラーは非常に淡々とした表情を浮かべ 静かに言葉を紡いでいた。 唯一人、古代に対してのみ例外だったが。 「ヤマトの責任者は誰かね? まさかこの坊やでは在るまい」 「き…貴様…っ!」 「止めるんだ、古代!」 真田と島に抑えられるがままの古代を 横目で確認しながら、 デスラーは先程からずっと 沖田の姿だけを追っていた。 「私が宇宙戦艦ヤマト艦長の沖田十三だ。 お初にお目にかかる、デスラー総統」 「これはこれは…。 貴殿が沖田艦長か。 こうしてお会い出来て何よりだよ」 デスラーはそう云うと フッと静かに微笑を浮かべた。 |