File.3-19

不思議なものだと思う。

宇宙戦士としての訓練を受け、
そして宇宙戦士として旅立った俺達。
何時果てるとも知れぬ旅路で
こんなにも互いを必要とし合えた事を。

敵兵の命を奪いながら
その半面で誰かを想う。

戦争なんてのは、実に下らない。

これは俺に科せられた罰なんだろうか。
確かにこの手で、俺もガミラス兵を殺めてきた。
だから今度は…
俺がこの世で最も大切な存在を
奪われる事になると言うんだろうか。

何の為に俺達は戦ってきたのだろう。
そして…俺はこれから
何の為に生きていけば良いのだろうか。

こうして、古代を腕に抱きながら眠るのも
今日が最後となるのだろう。
明日が来たら、もう二度と会えなくなる。

考えた事すら無かった。
古代が、俺の前から居なくなるなんて。
戦斗班長として前線に赴く彼に対し、
どうして其処まで信頼出来たのかは解らないが。
だけど俺はいつも、彼が無事に帰還すると
信じて疑いすらしなかったのだ。

それが…こんな事になるとは。
やはりどうしても信じられないし、信じたくない。

古代は眠った様だ。
少し悪いとは思いつつも
俺はそっと腕を抜いて、彼に布団を掛け直し
そのまま台所へと向かった。

* * * * * *

何もする気が起こらず、ただ…座っていた。
すると不意に、目の前にコップが差し出される。

「…母さん」
「落ち着かないの?」
「…あぁ」
「そうなの…」

心配してくれているのが判る。
久々に会えた母親すら、辛い思いをさせる。
俺は何時からこんなに親不孝者に成ったのだろう。
自分で、自分が情けなくなってきた。

「未来は、変えられるわよ」

母さんの口から出た言葉に、
俺は思わず驚いて顔を上げた。

「貴方達はまだ若いのだから。
 そして何よりも生きているのだから。
 諦めなければ、又 立ち上がれるでしょう?」
「だけど…俺達は……」
「諦めない事の大切さを私達に教えてくれたのは
 貴方が乗っていた【ヤマト】なのよ」
「母さん…」
「大介、貴方はヤマトの航海班長だったのでしょう?
 もっと胸を張りなさい。
 そして、自分の力で未来を掴み取って御覧なさい」
「……」
「父さんも母さんも、そして次郎も
 貴方の決断に従う覚悟は出来ているのよ」
「…?」

母さんの言いたい事を、この時の俺は理解出来なかった。
目の前の最大の不幸に気を取られ、
未来がまるで見えていなかったからだ。

だが、母さんの言う通りである。
俺達の絆が本物であれば、必ず会える。
いや…必ず逢ってみせる。
例え彼奴が、宇宙の彼方へ赴こうとも。
それが【俺達】なのだから…。

愛しているんだ。
こんなにも深く、強く、
誰かを愛した事など記憶に無い。
そして…きっとこれからも無いだろう。

俺は生涯、古代 進だけを愛し続ける。

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SITE UP・2010.9.24 ©森本 樹

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