File.3-20

3日目。

俺は再びモノレールに乗っていた。
傍らには勿論、大介が居る。
揺られながらも、俺は彼の肩に頭を乗せ
ボンヤリと車窓を眺めていた。

大介も又、恥ずかしげも無く
俺の頭をそっと何度も撫でてくれる。

視線は合わせなかった。
泣きそうになるから、無理だった。
大介も、きっと同じだろう。
だから肩を抱き寄せるだけ。
何も言葉は交わさず、風景を眺めていた。

* * * * * *

宇宙船用の軍港。
タランは約束通り其処で待っていた。
デスラーの姿が見えないと云う事は
彼がデスラーの名代なのだろう。

「心は、決まったかな?」
「あぁ」

タランの呼び掛けに、古代は静かに頷いた。

心は、決まった。
覚悟も出来た。
島が、自分に勇気を与えてくれたから
これからは一人ででも生きていける。
どんな地獄が待ち受けていようとも。

「では、行くとしようか」

沖田、真田、雪の姿も見える。
古代の旅立ちを見送りに来ていたのだろう。
皆、何も声を掛ける事が出来ずに居る。
立ち竦み、見つめるだけしか許されない。

「皆…今迄有難う。
 行って、参ります……」
「古代……」

タランの後について、タラップを上がると
不意に誰かの叫び声が聞こえてきた。

「古代! 古代っ!!」

先程まで感情を押し殺していた島が、
耐え切れずに叫んでいたのだ。
警護の兵に抑えられながらも
彼は声の限り叫び続けていた。

「古代! 俺は必ず、必ずお前を迎えに行く!
 必ず、お前を迎えに行くからなっ!!」
「大介……」
「待ってろよ、古代!
 必ず、お前を迎えに行くから! だから…っ!!」

力任せに警護の兵を振り払い、島は更に叫ぶ。

「進! 待ってろよっ!!」
「大介……」

古代は振り返らなかった。
溢れてくる涙を抑える事無く、
それでも毅然とした姿で。

「答えなくても、良いのかね?」
「……はい」

タランの問い掛けにも、古代は迷わなかった。
一度も振り返る事無く、
その姿はやがて戦艦の中へと消えていく。

「進……」

静かに地球を離れて行くガミラスの戦艦を見上げながら
島は再度、誓いを口にしていた。

「俺は必ず、お前を迎えに行く。
 だから…待っていてくれ、進」

* * * * * *

大気圏を越え、宇宙空間へ。
紅き地球は徐々にその姿を小さくしていく。

『進! 待ってろよっ!!』

感情を顕わに、ハッキリと告げられた島の言葉。
耳に残る、その逞しい声。

『必ず、お前を迎えに行くから!』
「待ってるよ、大介。
 お前を信じて、俺は待ち続ける…」

古代も又、誓いを立てていた。
必ずもう一度、自分達は出会うのだと。
再会を信じて。


〜第一部・完〜

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