File.3-4

衝撃の報告から3日後。

ワープ決行まであと6時間。
島は真田さんや徳川さんと動力チェックに向かい
今は第一艦橋には居ない。
俺はまた、手持ち無沙汰。
加藤や山本を誘って、トレーニングでもしようか。

食堂で軽く昼食を済ませると
俺はその足で格納庫へと向かった。

目の前に居る数人のグループは
やはり俺と同じく暇を持て余している戦斗班員。
そして、オレンジ色の矢印の制服…藪、か?

「あぁ、古代『戦斗班長』殿」

随分引っ掛かる言い方だ。
俺は敢えて無視する事に決めた。

「長らくお疲れ様でした。
 まぁ、ガミラスの兵隊を散々殺れたんだ。
 満足でしょ?
 それともまだ殺し足りませんか?」
「……」
「この世界は生命有っての物種。
 誰かさんの個人的な復讐で
 巻き沿い食うのは御免ですからね。
 これからは自分だけで処理して下さい」

藪の声に呼応する笑い声。
脳裏でプチンと何かが切れる音が聴こえた直後、
俺の意識は完全に消えた。

* * * * * *

「島! 島、居るかっ?!」

機関室に飛び込んで来たのは加藤だった。
此処を滅多に訪れない人物が血相を変えている。
尋常じゃない、何かを感じた。

「此処だ。どうした、加藤?
 お前がこんな処に来るなんて珍し…」
「話は後だ! 頼む、ついて来てくれ!!」
「何が遭った? 説明を…」
「後だ! 済まん、島を借りるっ!!」
「急いで行って来い、島。
 此処は俺と徳川さんで何とかする」
「…済みません。真田さん、徳川さん」

加藤に促される様に島も機関室を飛び出して行く。
その後姿を見送りながら
徳川は漸くゆっくりと口を開いた。

「加藤は自分の持ち場を離れない奴なんじゃが…
 あの分だと、第一艦橋から真っ直ぐに
 此処へ向かって来た様じゃな」
「えぇ…。冷静なアイツがあれ程取り乱すとは。
 多分…古代が、何か……」
「心配なら、お前さんも行くと良い。
 な〜に、波動エンジンは問題無しじゃ。
 予定通り、ワープ出来るよ」
「では…失礼して、俺も……」
「あぁ……」

2人に続いて真田も機関室を後にする。
調子良く動く波動エンジンの音に耳を傾けながら
徳川は此処に居る筈の男の不在を考えていた。

「藪よ…。
 お前は、地球に戻りたがっていたな。
 この戦いを『無意味』と称し、
 別の世界に目を向けたまま。
 地球に戻れると判ってからのお前は
 益々、その傾向が強くなった」

此処までの航海で、常に自分の右腕となっていた藪。
彼の心の動きは、多少なりとも感じ取っていた。

「なぁ、藪よ…。
 お前は何の為にヤマトに乗り込んだんじゃ?
 あの時の気持ちを、
 お前はもう忘れてしまったんじゃろうか…」

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