| File.4-10 |
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「古代と云う男、全く…面白い奴だ」 自室に戻ったデスラーは愛用のワイングラスを傾け 上機嫌な様子であった。 同席しているのはタランとドメル。 二人共、デスラーの次の言葉を待っているかの様に 終始無言を貫いている。 「この私を飽きさせない。 成程、それはそれなりに優秀な人材であろう」 「……」 「どうした、タラン?」 「少し、気になる事が御座いまして…」 「言わずとも良い。察しておる」 「左様で御座いましたか…」 タランはそう言うと、ドメルと顔を見合わせて微笑んだ。 「貴族派の動きが最近、聊か目に余るな」 「はい…。古代が此処に訪れてから どうもその状況が激しくなった様子」 「うむ…」 「先日も廊下でドメル将軍と一悶着遭った様で…」 「はい。複数名で古代に因縁を付けておりましたので」 「……」 ワインを軽く咽喉に流し、デスラーはふと笑みを漏らした。 だが…その笑みはまるで氷の様に冷たく、鋭い。 「私専用の玩具で勝手に遊ぶとは…な。 奴等はまだ、絶対者が誰であるかを解ってはいない様だ」 「総統閣下…」 「今後の出方次第では、大幅な粛正が必要となろう」 「…御意」 「地球の出方も未だ不鮮明だと云うのに」 デスラーのこの一言に、タランとドメルも深く頷く。 二人も又、同じ考えを持っていた。 「誇り無き者共の足掻き。 奴等も又、同様だ。 何時我々に牙を向くか判らぬ」 「…総統閣下」 「我々には時間が無い。 急ぎ市民を地球に移住させねばならぬ」 「勿論で御座います」 「我が母なる惑星は…風前の灯。 それでも尚、愛する我が子を守り抜いている。 私は…その意に従わねばならぬのだ」 デスラーは静かに目を閉じる。 脳裏に浮かぶのは、懐かしき母星。 「タラン」 「はい」 「移住計画を速やかに実行せよ」 「御意」 「ドメル」 「はい」 「君には少々、面倒な事を頼まねばならぬ」 「何なりと」 「貴族派の動きを探れ。 この状況でクーデター等起こそうものならば その場で処刑しても構わぬ」 「は、畏まりました」 「我がガミラスは私の名の下、 一枚岩に成らねばならぬのだ。 謀反などは決して許されぬ。 我が愛する、ガミラスの民の為にも 未曾有の危機を乗り越える為にも…な」 ガミラスの総統としての、デスラーの真意。 同席者であるこの2人は 何よりもその思いを強く、深く理解していた。 滅び逝く母星に残された市民を救う為に。 ガミラス人がこの宇宙で生き延びる為に。 「その為には如何なる汚名も誇りとして受け止めよう」 デスラーの決意に一片の揺るぎも曇りも無かった。 |