| File.4-11 |
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慌しい様子。 廊下でのざわつきは 部屋の中に居ても伝わってくる。 何事か起こったのだろうか。 古代は耳を傾け、気配を追っている。 心成しかアイシァも 体を震わせている様だ。 「どうしたんだ、アイシァ?」 「あぁ…、進さん……」 「この騒動は一体何だろうな。 それとも、君は何か知っているのか?」 「そ…それは……」 「もし、俺で良ければ… 話してくれないかな、アイシァ?」 「……」 口篭ってしまう様子から推察するに この件について、彼女は誰かから 固く口止めされている様だった。 それが判るだからこそ 余計に腹立たしくも思う。 俺はアイシァを…可愛い妹を… ただ、守りたいだけなのだ。 「アイシァ…。 君は俺が、必ず守るから。 何者からも、絶対に守ってみせる…。 君の…【兄貴】として……」 「進さん…。兄、様……」 暫く何かを考えている様だった彼女は やがて意を決したのか、 胸の前で組んでいた両手に力を篭めると 震えながらも必死に言葉を紡いでくれた。 その内容は、やはりかなり重いものであり… 俺の運命を否応無しに揺さぶるものであった。 「総統閣下の小姓を勤める 男の子が居るんです。 私よりも年下かと思いますが… その子が総統閣下に 失礼を働いたとか……」 「失礼を? 何かやったのかい? まさか暗殺とか……」 「それは無いと思いますが… 私も詳しい事迄は判らないんです」 「そうか、済まないね」 「いえ…只……」 「只?」 「その子を処刑するとかで話が…」 「何だってっ?! 誰がっ?」 「総統御自らとは思われませんので… 恐らくはヒス様じゃないかと話に出てました」 「又 ヒスの思いつきかよ……」 俺は思わず頭を抱えてしまった。 戦士に女装程度ならまだ可愛げも有るが (正直、されてる身にもなれとも思う) 人の生き死に迄、 適当な匙加減で扱われては困る。 そもそも、どの程度の 失礼が遭ったのかは知らないが あのデスラーがその程度で怒るだろうか? 「私…その子を知っていますが 悪い子ではないんです。 只 人より少し不器用なだけなんです。 でも…それで処刑されてしまうなんて…」 アイシァはその少年の身を案じている。 どうにかして救ってやりたい。 そんな彼女の気持ちが伝わってくる。 救えるとしたら… それは俺を置いて他には居ない筈。 彼女が話をし辛そうにしていたのは その理由も存在していたのだろう。 「アイシァ。 俺がデスラーと直に話をしてみる」 「兄様…?」 「話し合う事で誤解が消える事だってある。 何もしないで諦めてしまうよりも やるだけの事はやってみよう」 「兄様…どうか、御無理だけはなさらないで…」 「大丈夫だよ。有難う、アイシァ」 俺はそう言って微笑むと 優しくアイシァの栗色の髪を 撫でてやった。 |