File.4-15

俺が黙秘すれば…
それだけ大介の身に危険が迫る。
俺の所為で、大介が。
それだけは、絶対に避けないと。

「【島 大介】、だ。
 今は地球防衛軍の地上勤務の筈。
 …生きていれば」
「ほぅ…」
「デスラー、島は何の関係も無い。
 彼を処刑したって、意味が無いだろ?」
「……」

とにかく矛先を変えたかった。
デスラーは俺の関心が彼でなく
大介に向いた事が気に食わないんだ。
ならば、俺にぶつければ良い。
【処刑】等と言って脅す事無く、
俺を痛めつければ良いだけだ。
少々体が傷付けられようが
大介さえ無事ならば、それで…良い。

「デスラー」
「可笑しな奴だな、お前は。
 そもそもこうなった事態は
 お前が小姓なんぞの
 延命を望んだからこそ。
 今度は島の延命か?」
「勿論、只とは言わない。
 それ位は解っている…」
「私を満足に出来なかった身でか?
 片腹痛い話だ」
「…何とでも言ってくれ。
 俺は、俺に出来る事をするだけさ…」
「何故に其処までする?
 お前に一体何の【利】を齎すと?」
「…判らない。
 【利】が有るかどうかなんて関係無い。
 俺は、只…見たくないんだ。
 これ以上、誰かが苦しむ姿を……」

デスラーは何も言わない。
暫し、何かを考えていた様で
やがて踵を返し、机へと向かう。
やがて此方に戻ってきた彼は
右手に何かの瓶を持って来た。

瓶の中に蠢く液体の様な物。
生物、なのだろうか。

「一晩、コイツの相手をしてみせろ」
「…え?」
「これは特殊技術で偶然生み出された
 液体生物(スライム)でな。
 粘液に多量の催淫剤を含んでいる。
 一晩コイツの相手をし、
 正気を保てる事が出来れば…
 島と小姓の身柄の安全は
 保障してやろう」
「デスラー……」
「出来るか、古代?
 自分以外の誰かの為に
 生命を賭けられるのか?」
「…解った、やろう。
 もし俺が一晩持ち堪えたら…
 その時は、絶対に……」
「良いだろう。
 このデスラーに二言は無い」
「……有難う」

恐らくこれが最後のチャンスだ。
これを逃せば、後は無い。

『俺を見守ってくれ、大介。
 この試練に打ち勝てるだけの強さを、
 俺に与えてくれ…頼む、大介……』

あぁ、扉の閉まる音が聴こえる。
この暗い部屋で、たった一人…
長い、長い夜を迎える事になる。

朝は無事に明けるのだろうか。
それすら、定かではない。
だが…決めたんだ。
俺は守りたい。
もう二度とと失いたくはない。
そして…。

『大介、もう一度…
 もう一度だけ、お前に逢いたいんだ…』

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SITE UP・2011.11.3 ©森本 樹

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