| File.4-3 |
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通された場所は独居房等ではなく 立派な客室に見えた。 戦艦内でこの様な部屋が在る事自体 古代にとっては想定外ではある。 「此処が、今日からお前に当てられた部屋だ」 デスラーの常に傍に立っていた男は 実につまらなそうに部屋の中へと案内した。 「アイシァ、アイシァは居るか?」 「はい、ヒス副総統閣下」 「今日からお前の身の回りを世話する女中だ」 アイシァと呼ばれた少女は 古代よりも数年は若く見える。 その表情は少しも動かず、 美しいがまるで硝子細工の様でもあった。 「アイシァ、後はお前に任せる。良いな?」 「はい、ヒス副総統閣下」 「……」 古代は先程から尊大な態度を取る このヒスの言動が気に入らなかった。 だからと言って此処で抗議しても 無駄な時間を費やすだけだろう。 何よりも、自分の身の回りを世話してくれると云う アイシァの立場が悪化する事だけは避けたい。 「それとだ、古代。 貴様の武装は一切認めない。 捕虜なのだから、当然であろう?」 「……」 「衣類は此方で用意してある。 それ以外の着用も認めぬ」 「それは…総統閣下の意思か?」 「評議会の決定である」 「……」 「良いな?」 「…解った」 全く馬鹿げた話ではあるが 先程の【暗殺宣言】の事を考えると 評議会が警戒するのも納得がいく。 ガミラスの評議会は たった一人の地球人を恐れているのだ。 実に、滑稽である。 「やれやれ…厄介な事になっちまったな」 ヒスが立ち去った広い個室で ベットに横たわりながら、 思わず古代は唸っていた。 客人扱いの捕虜。 何とも、表現し辛い立場。 「しかしまぁ…独房に放り込まれるよりも 遙かにマシな対応だよな。 どう云う風の吹き回しなんだろう?」 「あの…古代様……?」 「あ、えっと…アイシァ…だったよね?」 「はい。お召し物は此方になります」 「これ?」 アイシァから渡された衣装を見て 思わず古代は息を飲んだ。 武装解除は納得いったが 流石にこの衣装は無いだろう、と感じたのだ。 「だ…誰の趣味だ、コレ?」 「存じ上げません。 ただ、これをお目しになって頂く様にと」 「…そ、そうなのか……」 命じられたアイシァに駄々を捏ねても仕方が無い。 かなり不本意ではあったが 確かにこの衣装ならば武装しても直ぐに発覚する。 「仕方が無い。着るよ」 古代は腹を括り、衣装を手にした。 しかし…これは女性用のドレスである。 着方等勿論、彼が知る筈も無い。 結局、アイシァの手を借りながら 漸く彼はこの衣装を身に纏う事が出来たのだった。 |