File.4-4

着慣れないドレス、然もそれ一枚となると
動く度に風が肌に触れて何とも心許無い。
おまけに艦内のガミラス人は圧倒的に男が多く
厭らしい眼差しに曝される事も
一度や二度ではなかった。

「身柄は自由かも知れないが…
 これはこれで拘束されてるんだよな」

今更とは言いながらも
やはり愚痴の一つ位は出てしまう。
そんな時はいつも
窓から見える大宇宙に目を向けていた。

「大介……」

離れ離れになった大切な存在に思いを馳せ、
古代は日一日を耐えるしかなかったのである。

* * * * * *

「会見に?」
「えぇ。視聴の一人として、で構わぬ」
「俺なんかが行かなくても。
 今迄だって会議はやってるんだろう?」
「確かに。だが…な」

心痛な面持ちで部屋を訪れたタランから
半ば強制的に会議に出席する様に通達を受け、
思わず古代は顔を顰めてしまった。

「タラン将軍?」
「ヒス副総統の御意見らしい」
「ヒス…副総統が?」
「あぁ。私個人としては余り賛同出来ぬが」
「どう云うつもりなんだろう?」
「会議と云っても、席を占めるのは
 我々軍人よりも貴族の方が多い。
 余り…良い雰囲気とは言えぬだろうな」

タランは古代を事を思って
態々自分の口から伝えに来たのだろう。
軍人だからこそ解る、仕打ちの惨さを。

「貴族の暇潰しに付き合え、か」
「……」
「で、総統は何て言ってるんだ?」
「生憎、参加者の動向まではな。
 総統閣下のお手間を取らせぬ様にと
 動くのが我等従者の務め故に」
「アンタも大変なんだな…」
「これが軍人と云う者だよ、古代」
「…解った。参加すると伝えてくれ」
「貴殿の心遣い、感謝する…」
「有難う、タラン将軍」

勿論、納得等出来よう筈も無い。
己にも宇宙戦士としての誇りが有る。
正直言って、貴族の為に客寄せパンダに成るなど
彼からすれば愚弄以外の何物でもなかった。

だが、此処で突っぱねた所で
何も事態は好転しないだろう。
タラン将軍の立場は悪くなるだろうし、
それは暗に自分の存在意義すら危ぶまれる。
少なくとも自分に対して好意的に接してくれる
あの心優しい将軍に、辛い思いはさせたくなかった。

「地球もガミラスも…
 底辺では余り変わらないものなんだろうな。
 下らない奴は何処にでも居る。
 ただ…それだけの事なのかも知れないな」

それが解っただけでも、良かったのだろう。
古代は静かに頷くと
再び窓辺に足を向けた。

「大介……」

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SITE UP・2011.1.17 ©森本 樹

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