File.4-6

「随分と恥ずかしい部分を見せてしまったようだな。
 全く以って忝い」

ドメルはそう言って笑っている。
やはりその笑顔は島と良く似ていた。
或いは古代の思いが、
ドメルと島を重ねていたのかも知れない。

「君が古代、か」
「はい…。先程は有難う御座いました」
「いや、私もあの連中が嫌いなのでね。
 日頃から目に余る態度ばかり、
 いつかは仕留めてやろうと思っていただけさ」
「…そう、ですか」
「奴等は現場を知らん。
 故に戦士の気持ちを知ろうともしない。
 生まれだけを気にし、媚を売り続けている。
 愚かな輩だ」
「…似てる、のかもな」
「ん?」
「地球にも…似た人種が存在する」
「ならば君は、私と近い立場なのかも知れんな」
「……」
「戦士とは、辛い者だよ…」

古代の脳裏にヤマトでの航海が蘇っていく。
イスカンダルへ向かう旅を中断させられた
あの苦々しい思い出。
そして、忘れられない友との別れ。

『大介……』

声を聞く事すら出来なくなった
誰よりも愛しく、大切な存在。
どうしても気に掛かってしまう。

『大丈夫、大丈夫だ。
 大介は俺なんかよりもずっと
 要領も良いし、味方も多い。
 きっと巧くやって行けるさ』

不安が過ぎる度、そうやって打ち消してきた。
これから後何回、こうやって不毛な押し問答を
繰り返すつもりなのだろうか。

『大介…。俺も頑張ってみるよ。
 いつか、お前と逢える日が来ると信じて…』

古代は信じていた。
再び、島と共にこの大宇宙を旅する日が来る事を。

* * * * * *

会議自体は非常に中身が無く
欠伸を噛み殺して平静を保つのが大変だった。
その位しか、記憶に残らない。

貴族軍人の祝辞や賛美は
聞いているだけで鳥肌が立つ程に気持ち悪く、
デスラーは、よく平然としていられるものだと
的外れな心配をしたりしていた。

地球の支配制度に関する話が聞ければ、とも期待したが
この様な場所では逆に意味が無いのかも知れない。

ガミラス帝国ではデスラーの一言が絶対故に
評議会の決定を鵜呑みにする者は余り居ないらしい。
やはり、形だけの議論なのだ。

『つまらない…か。
 確かにこんな毎日じゃ、つまらないだろうな』

内面からガミラス帝国を見る事が出来る様になって
古代は自身の考え方に変化を来たしているのを感じていた。

『ガミラス帝国は…家族の仇だった。
 父さんと母さん、そして兄さんを奪った
 憎い、憎い敵だった筈だ。
 それなのに俺は…何時から……?』

これは【裏切り】に値するのだろうか。
無念に散った家族に対する裏切り。
父や兄はそんな自分をどう思うだろうか。

『母さん…』

そして、争いを嫌う優しい母は
こんな自分をどう評価するのだろうか。

[5]  web拍手 by FC2   [7]



SITE UP・2011.2.5 ©森本 樹

目次