File.4-7

「お帰りなさいませ、古代様」
「……えぇっと」

アイシァの出迎えに、古代は困惑した。
デスラーの来賓扱い、とは言え
自分は此処迄施しを受ける様な人間ではない。
貴族の様な扱いにはどうも馴染めない。
見たところ、アイシァと自分は年頃も似ており
寧ろ友人関係や兄弟関係の方が息も抜けた。

「あ、あのさぁ…アイシァ」
「はい。何で御座いましょうか?」
「君…、歳は幾つ?」
「トシ…?」
「年齢だよ。今、何歳?」
「ガミラスの人間は地球人と全く同じ訳ではないのですが」
「良いんだ。大体どれ位なのか知りたくてさ」

アイシァは首を傾げ、困っている様子だ。
無理も無いのかも知れない。
今迄 彼女個人の事を問い掛ける人間等
一体どれ位存在していたのであろうか。

「答え難い、かな? それなら無理には…」
「地球人の年齢に換算して、と云うのは
 私では出来かねますが」
「良いんだ。そのままの年齢を教えてくれれば」
「15歳になります」
「15歳?」
「はい」
「そ…そうか。有難う」

古代は自分の見解に
ほぼ狂いが無かった事に安堵した。
そんな古代を、アイシァは不思議そうに見つめている。

「年齢が、何か重要な事でも有るのですか?」
「そうじゃないさ。
 ただ俺は、もう少し君に事を知りたかっただけだ。
 だって…君の事、名前しか知らないんだから」
「名前以外を聞かれた事は、今迄一度も御座いませんでした。
 女中の名前以外等、不要な情報でしょうから」
「そんなの、おかしいよ」
「?」

古代の言い分は、果たして彼女に通用するだろうか。
身分制度が地球よりも重きに置かれているガミラス。
其処で生まれ育った少女にとって
【当たり前】と受け取ってしまう程の差。

それでも古代は伝えたかった。
もっと違う生き方が有るのだと。

「俺はさ…君と友達に成りたいんだ。
 解り合いたい」
「古代様…」
「まぁ、他の奴等の目も有るだろうから
 難しい事かも知れないけど。
 でも、こうして二人きりの時は…
 俺の事、【進】って呼んでくれて良いから」
「進様…ですか?」
「「いやぁ…ほら、友達同士なんだから。
 【様】なんて俺の柄じゃないし…」

照れ臭そうに鼻の頭を掻きながら
古代は微笑を浮かべている。

「な、アイシァ。
 せめて俺の前でだけは
 もう少し緊張を解して欲しいんだ…」
「そ、それでは…す、進…さん…」
「…有難う、アイシァ」

古代は感謝の意を篭めて右手を差し出す。
それを理解したのか、
アイシァは歳相応の娘らしい笑みで
彼の手を握り返した。

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