| File.4-8 |
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全く…。 俺は此処に来てからと云うものの、 ヒス副総統の口から まともな提案を聞いた事が無い。 きっとこれからもそうだろう。 そんな風に言い切れそうで 寧ろ怖い位だ。 「夜伽?」 「そうだ。何度も言わせるな」 「そんなの、男で務まる筈無いだろう? あれは女が男に対して…」 「従者が主人に対して尽くす事を言ったまでだ。 性別等で己の立場を誤魔化すつもりか」 「……」 ヒスは一にも二にも「デスラー総統の為に」と言うが それが果たしてデスラーの為に成っているのだろうか。 この衣装にしてもそうだったし。 アイシァも正直、ヒスには苦労している。 思い付きで色々と言ってきては、 意に叶わないと直ぐに部下に八つ当たり。 流石にあれでは、人が着いてこない。 やはりタラン将軍やドメル将軍の方が 部下も安心して働けると云うものだ。 「とにかく本日からだ。 総統閣下に誠心誠意、お仕えするのだ。 良いな!!」 「…はいはい」 好い加減、ヒスと問答するのも 馬鹿馬鹿しくなってきた。 真面目に討論を望んだ所で この男にそれが通用する訳じゃない。 【聞き流す】事も時には有効だ。 部屋を去って行くヒスの後姿に 俺は思い切りアカンベーを繰り出した。 俺が宇宙戦士だと云う事を忘れるな! どんな手を用意しようとも 俺は誇りを失う事無く、乗り越えてやるさ! 本当は叫んでやりたい位だったが 俺のアカンベーを見たアイシァが クスクスと笑っているのを見て、 まぁ…こんな位で勘弁してやるかと 取り敢えず腹の虫を押さえ込んだ。 元来、「夜のお勤め」と言われても 何をして良いのかなど、俺には判らない。 ガミラスの習慣を知ってる訳でも無いし。 それに…ヒスの言いたい事が 【あの行為】を指しているのだとしても、 俺はそんな気分になれない。 それは酷な話である。 俺にとって、全てを委ねられるのは大介だけ。 主従関係ではなく、対等な恋人同士として。 彼奴だけが俺の全てを包み込んでくれる。 それはきっと、共に訓練を積み、戦場に出たから。 経験が、共に居る時間が、 俺達の絆を強めてくれたから。 俺達の繋がりには確固たる理由がある。 只の【お友達】では有り得ない、理由が。 だが…今の俺は捕虜の身分。 デスラー自身の気持ちがどうなのか判らない今、 自分の意見だけで突っ撥ねる事も 正直…不可能に近いだろう。 人質は俺じゃない。 寧ろ真の人質は地球そのものであり、 俺にとっては…大介なのだ。 |