| File.5-1 |
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なぁ、進…。 お前は今頃、何をしてるんだ? お前の事だ。 置かれている環境なんて乗り越えて 案外、デスラー総統と 意気投合してるんじゃないか? お前は見掛けによらず芯が強いし 逆境に追い込まれれば追い込まれる程 真価を発揮するタイプだからな。 俺は何も心配などしていない。 お前なら、きっと大丈夫だ。 何が遭ったとしても… 俺はお前を、信じているから……。 無造作に乱雑に置かれた書籍やデータチップを 綺麗に整理し、棚に収めていく作業。 延々と繰り返される単調な動作にも いつの間にか慣れてしまっていた。 敗戦国になれば、こんなものである。 軍でそれなりの地位に居た者として 生命が有るだけでも有り難い。 「ふぅ〜。そろそろ時間か?」 島は一息吐きながら、壁掛け時計を確認した。 針はそろそろ17時を指そうとしていた。 「最近は随分と資料の出し入れが激しくなってきたな。 こんな資料等、既に無用の長物だと思っていたが… 又 キナ臭い雰囲気になったと云う事なのか?」 否、それは有り得ない。 和平の為にと古代 進はガミラス帝国へと赴いたのだ。 たった一人で。 「そうさ…。俺達は平和を手に入れたんだ。 進の…アイツの身柄と引き換えにな」 そう呟くと、堪らなく苛立たしくなった。 同じ場所に立っていた筈なのに 自分は保身の為に何も出来なかった。 意を発し、自らを犠牲に出来たのは 地球人の中では 古代 進、唯一人だったのだ。 やがて室内にベルの音が鳴り響く。 終業時間の17時を知らせるベルだ。 島はそれを確認してから帰り支度を始めた。 定刻通りに帰宅する今のスタイルに 疑問を抱く事は放棄した。 今の自分は『軍人とは呼べない』身なのだから。 モノレールから静かに外を見つめる。 放射線物質の汚染を免れた地下都市は こんなにも穏やかな表情を見せるのかと 感慨深くなっている自分に気付いた。 『アイツがこの町並みを見たら… 一体、何て言うんだろうな…』 自分達が挑んだ戦いの意味。 戦わずして手に入れてしまった結果に 満足など出来ない。 出来よう筈も無い。 『仮初めの平和よりも俺は…』 モノレールが静かに終着駅に向かう。 最後に古代と乗った時の情景が思い出され 島は胸を締め付けられる様な気分になった。 『俺はこんな未来を… 望んでなどいなかった。 進、お前の居ない地球に 俺の居場所等無いんだ……』 |