| File.5-10 |
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同時刻。 佐渡とアナライザーも白き光を確認していた。 小さな目を細め、佐渡は何も言わず やがて消え行くその軌跡をずっと見つめていた。 「佐渡先生」 「…行きおったな、アイツは」 「沖田艦長ニ報告ヲ入レナイト イケマセンネ」 「あぁ、そうじゃな」 「島サンガ帰ッテ来タラ コノ計画ノ全容ヲ明カシマスカ?」 「…覚えていればな」 「私ハ覚エテマスヨ」 「はは、そりゃそうじゃ。 お前さんの頭はワシより良く出来てるじゃろうが! そんなにデカい頭をしてからに!」 「頭ノ大キサダケノ問題デハナイト思イマスケド…」 「まぁ、良いわい。 それよりもアナライザー。 今日、ワシは気分が良い。 帰ったら宴会を開くぞ!」 「待ッテマシタ!!」 「ささやかな祝杯じゃ! 今日は呑むぞ!盛大に呑むぞ! その内に呑めなくなるんじゃから 今の間に目一杯呑むぞ!!」 佐渡は大きな声でガハハと笑いながら 何事も無かったかの様に 相棒のアナライザーと帰宅の徒に付いた。 「…そうですか、解りました。 此方も今確認しました。 無事に送り出せた様です…」 通信機を片手に、南部も又 あの白き光の軌跡に目を細めていた。 「無理を聞き入れて下さって感謝してます。 島家の皆さんの事、 引き続き宜しくお願いします」 『解っている。我が名に賭けても あの3人の保護は任せておきなさい。 只…康雄、お前も余り無理をせん様にな』 「…解ってますよ。 派手な事はしない様、気を付けます。 目を付けられているのは僕も同じですから」 『お前も、もう子供ではないからな。 その辺は信頼しているよ』 「有難う御座います、お父さん」 通信を切り、周囲に注意を送る。 特に誰の気配も感じない。 「俺もそろそろ此処から引き上げないと」 再度車に乗り込み、エンジンをかける。 ドライブと洒落込み、もう少しだけ走るとしよう。 南部はそう決めると、 特に目的地を定める事無く走り出した。 ミサイルの包囲網を擦り抜け、飛び立ったコスモ・ゼロ。 自分の想いと共に、島は古代の許へと飛び立った。 空に描かれた白い軌跡は、今の自分に眩し過ぎる。 直視出来ない程に。 そう感じるのはきっと、自分が【汚れた存在】と感じたから。 政府高官の息子との戦略結婚が決まった時 自分は何度生命を投げ出そうと思った事か。 苦しかった。悲しかった。 父の為、母の為、と我慢しようと誓っても 古代の事が脳裏から離れる時は只の一度も無かった。 もっと早くこの恋心に気付いていれば こんな後悔等せずに済んだかも知れない。 「でも、もうそんな事も終わり。 これで私は……」 雪は静かにそう呟き、微笑むと 格納庫の外付け非常階段を ゆっくりと登って行った。 |