File.5-9

更なる追撃を覚悟していたが
島の心配は杞憂に終わった様だ。
地上に目をやると、戦闘機の姿など無く
ミサイルも先程の2発だけだったのだろう。
これでよくもまぁ、ガミラスと再度戦う等と
大見得を切ったものだと苦笑が漏れる。

「もっと簡単に俺を殺れると
 高を括っていたのかも知れないな。
 無論、俺一人なら
 そうなっていただろう事も考えられる。
 だが…俺は一人じゃない」

グリップを握る手に力が篭る。
此処迄用意するのは並大抵の事では無かった筈だ。
自分が今を悲観してやさぐれている間に
仲間達は只 粛々とこの計画を推し進めていた。
何時か訪れるであろう、決起の日の為に。

「父さん…母さん…次郎。
 俺は…こんなにも守られていたんだな。
 色んな人達に…守り、支えられていたんだ…」

ヤマトが育んでくれた絆を
島は改めて強く感じ取っていた。
そして、恋しくなった。

自分が僻地に飛ばされてから
ヤマトのヤの字も聞く事は叶わなかった。
やがて、それを聞く事を憚れ
尋ねようともしなくなった。
長い、長い半年の日々。
改めて、ヤマトのその後が気になる。

「叶うのならば…」

青空は、大気圏を抜けて藍へと趣を変える。
いよいよ、コスモ・ゼロは宇宙へ飛び出すのだ。

「俺はもう一度、ヤマトに乗りたい。
 進や…仲間達と共に、
 ヤマトでこの戦いに終止符を打ちたい…」

コスモ・ゼロの白い機体が宇宙に溶け込む。
今、島は地球から完全に抜け出した。
赤い地球を背に、更に加速する。
心は、ガミラスの空母艦隊へ。

「進…。今から行くからな。
 お前の待つ…ガミラスの艦へ」

* * * * * *

「あれ、流れ星?」

ふと次郎が声をあげる。
空へと昇って行く一条の光が
次郎には【流れ星】に見えたのだろう。
その正体が何であるかはもう判っている。
息子 大介は自分の信念の下、
再び戦う為に飛び立ったのだ。

「あなた…」
「あぁ、そうだな。
 あれは正しく【星】だ。
 我々に希望を齎す【星】だよ…」
「希望の星?」
「そうだよ、次郎。
 だから私たちも負けてはいられない。
 解るね?」
「うん! 僕、頑張るよ!」
「そうだ。その調子だ」

次郎の明るい声に、両親は思わず顔を綻ばせた。
どんな困難な戦いでも
自分達の息子はきっと大役を果たしてくれる。
もう一度笑顔で会える時を信じて
自分達も必死に頑張っていこう、と。

「私達は…素敵な息子達に恵まれたもんだ」
「そうですね、お父さん」

母親の言葉に、父親は笑顔で頷いた。

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SITE UP・2013.06.16 ©森本 樹

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