File.5-5

定時前に上がり、少ない荷物を纏めると
島は黙ってモノレールに乗った。
動き出す列車に自身を重ね合わせる。
列車は駅で停車出来るが、
これからの自分は走り続けるしかない。
駅も無い、ゴールは見えない。
だが、走り続けなければ
其処で人生が強制的に終了する。

「…俺の運命、か」

地球を守る為にとヤマトの乗っていた頃が
何もかも皆、懐かしく感じる。
もしもヤマトがイスカンダルに到着していたら。
放射能除去装置を手にして地球に帰還出来ていたら。
果たして自分達はどうなっていたのだろうか。
英雄として崇め奉られているのか。
それとも、やはり目障りな反乱分子扱いとして
人知れず闇に葬り去られるのか。

「……」

心の奥底から湧き上がる衝動。
これは怒りなのか、憎しみなのか。
それとも。
【悲しみ】なのだろうか。

やがてモノレールは終着駅に辿り着く。
ゆっくりと速度を落とし、停車に備える。
島は佐渡からのアドバイスを思い出し、
何事も無かった様な表情を浮かべて
下車準備を始めた。

* * * * * *

人の気配のしない我が家。
荷物は既に運び出され、家族は誰も居ない。
正しく【夜逃げ】の有様である。
そんな嘗ての我が家から出てくる一人の男。

「南部…」
「安心しろ、島。
 御家族は俺が安全な場所に案内した。
 これからも俺が御家族のバックアップに当たるから」
「南部、お前…」
「俺にはこれ位しか出来なかった。
 大丈夫だ。
 俺の家族もお前の味方だよ、島」

今は僅かな時間でも惜しい。
南部は名残惜しそうな表情を浮かべていたが
自身の役目を思い出すと、
そのまま島をトレーラーに誘導する。

南部が個人的に手配したのだろうか。
実に手際良く必要な物を準備していた。
勿論、その中には武装も。

「簡潔に言う。
 島、今からコスモ・ゼロ格納庫に向かうぞ」
「コスモ・ゼロ?
 無事だったのか?」
「あぁ、俺の家が事前に抑えておいた。
 お前はコスモ・ゼロに乗って地球を脱出するんだ」
「…南部、しかしそんな事をしたらお前の家は……」
「【南部】を完全に敵に回す程
 地球が莫迦でない事を願ってるよ」
「…お前」
「今のお前にとっては地球よりもガミラスの方が安全かも知れん。
 こんな事を俺達が思うのは変かも知れないが
 奴等の方が筋を通していた、そんな気がする」
「…かも、知れないな」
「俺は、古代が生きていると信じたいんだ。
 島…頼む。古代の生存を確認してくれ」
「どう云う、意味だ?」

初めて聞く耳障りの悪い言葉。
【生存】。
島は表情を強張らせて南部に詰め寄った。

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SITE UP・2013.04.23 ©森本 樹

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