| File.5-5 |
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定時前に上がり、少ない荷物を纏めると 島は黙ってモノレールに乗った。 動き出す列車に自身を重ね合わせる。 列車は駅で停車出来るが、 これからの自分は走り続けるしかない。 駅も無い、ゴールは見えない。 だが、走り続けなければ 其処で人生が強制的に終了する。 「…俺の運命、か」 地球を守る為にとヤマトの乗っていた頃が 何もかも皆、懐かしく感じる。 もしもヤマトがイスカンダルに到着していたら。 放射能除去装置を手にして地球に帰還出来ていたら。 果たして自分達はどうなっていたのだろうか。 英雄として崇め奉られているのか。 それとも、やはり目障りな反乱分子扱いとして 人知れず闇に葬り去られるのか。 「……」 心の奥底から湧き上がる衝動。 これは怒りなのか、憎しみなのか。 それとも。 【悲しみ】なのだろうか。 やがてモノレールは終着駅に辿り着く。 ゆっくりと速度を落とし、停車に備える。 島は佐渡からのアドバイスを思い出し、 何事も無かった様な表情を浮かべて 下車準備を始めた。 人の気配のしない我が家。 荷物は既に運び出され、家族は誰も居ない。 正しく【夜逃げ】の有様である。 そんな嘗ての我が家から出てくる一人の男。 「南部…」 「安心しろ、島。 御家族は俺が安全な場所に案内した。 これからも俺が御家族のバックアップに当たるから」 「南部、お前…」 「俺にはこれ位しか出来なかった。 大丈夫だ。 俺の家族もお前の味方だよ、島」 今は僅かな時間でも惜しい。 南部は名残惜しそうな表情を浮かべていたが 自身の役目を思い出すと、 そのまま島をトレーラーに誘導する。 南部が個人的に手配したのだろうか。 実に手際良く必要な物を準備していた。 勿論、その中には武装も。 「簡潔に言う。 島、今からコスモ・ゼロ格納庫に向かうぞ」 「コスモ・ゼロ? 無事だったのか?」 「あぁ、俺の家が事前に抑えておいた。 お前はコスモ・ゼロに乗って地球を脱出するんだ」 「…南部、しかしそんな事をしたらお前の家は……」 「【南部】を完全に敵に回す程 地球が莫迦でない事を願ってるよ」 「…お前」 「今のお前にとっては地球よりもガミラスの方が安全かも知れん。 こんな事を俺達が思うのは変かも知れないが 奴等の方が筋を通していた、そんな気がする」 「…かも、知れないな」 「俺は、古代が生きていると信じたいんだ。 島…頼む。古代の生存を確認してくれ」 「どう云う、意味だ?」 初めて聞く耳障りの悪い言葉。 【生存】。 島は表情を強張らせて南部に詰め寄った。 |