| File.5-7 |
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「島君」 思いがけず声を掛けられ、 思わず肩が竦んだ。 こんな場所で聞く声ではない。 この声は、間違いなく…。 「森君……」 「待ってたわ、島君」 「南部が言ってた【案内人】とは 君の事だったのか…」 「貴方を此処から宇宙に送り出す事が 私の役目なの」 久しぶりに見た雪は白いスーツに身を包み 顔も薄く化粧を施していた。 ヤマトに乗っていた頃とは違い 随分と大人びて見えてくる程だ。 時間がそれだけ流れたのだろう。 そう思うと、又 胸の奥が痛む。 「君の方は大丈夫なのかい? こんな危険な役目を買って出ても…」 「私の事なら心配要らないわ。 強力な後ろ盾が出来たから」 「?」 雪が浮かべる自嘲の笑み。 その意味が理解出来ず、思わず島は首を傾げた。 「島君、これを持って行って」 「…これは?」 「今 軍が開発している新型戦艦の設計図を 詳細に収めたマイクロデータディスクよ」 「?! 持ち出し禁止じゃないのか?」 「大丈夫。私なら持ち出す事も出来るから」 「森君…。一体、君は……?」 「出来る事なら私も一緒に行きたかった。 男であれば、きっと貴方と一緒に 古代君の元へと飛び立てたでしょうに…」 雪の目から一筋の涙が零れる。 その瞬間、島は悟った。 雪も又 望まぬ【未来】に身を捧げたのだと。 それはきっと、大切な家族の為に。 この行為は、雪のせめてもの【抵抗】だったのだろう。 「約束するよ。 俺は必ず古代に会う。 会って…この戦争を止めてみせる。 今度こそ、終わらせてみせる」 「信じてるわ、島君…。 貴方と古代君なら、必ず……」 「あぁ、約束する。 必ずだ。そして…」 一度目を閉じ、軽く頷いてから 島はゆっくりと目を開いて雪を見つめる。 「今度は俺と古代で、君を迎えに戻るよ」 「島君…?」 「必ず古代を連れて地球に帰って来る。 だから、安心して待っててくれ」 「……島君」 嘗ての仲間がこの先も望まぬ未来に苦しむのを 黙って見ている事など出来ない。 今は何も出来ないかも知れない。 だが、古代と出会う事が出来れば 其処から道を切り開けると島は信じていた。 その為に地球を飛び出し、戦うのだと。 「俺は諦めないよ。 どんな横槍が入ろうとも 今度こそ全て跳ね除けてやるさ。 もう二度と、後悔はしたくないんだ」 「…島君、貴方は強い人ね」 「いや…そうじゃない」 「えっ?」 「俺は弱かったんだ。 だからあの時、古代を引き止められなかった。 それを痛感したからこそ、 もう同じ過ちを繰り返したくないだけさ」 「…それが【強い】と言うのよ」 「森君?」 「人はね、例え過ちに気が付いても 『見て見ぬ振り』をして誤魔化す生き物なの。 反省だって『してる格好』を見せてるだけ。 私も…その内の一人なのよ……」 何とも悲しげな雪の声に 島は何も言えなくなっていた。 |