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ずっと自分達の後を追い掛けては 必死に背伸びをしている… 少し大人びた少年、だった。 幼い顔立ちながらも中身はなかなかのもので 兄である大介の心配をしたり、 古代の話し相手を買って出ようとしたり 思い出そうとしたら限が無い位だ。 誰よりも大人に憧れ、 誰よりも大人になろうと必死だった少年。 その姿は重なりつつも 【復讐】の二文字に囚われている自分とは 大きく掛け離れているとも言えた。 あれ程憧れていた大人の世界を 今の次郎はどう思っているのだろう。 地球を捨て、宇宙へ逃げた古代には 地球に留まり、地球人を救おうと 獅子奮迅の活躍を見せた次郎に対して 正直、面と向かう事すら気恥ずかしかった。 恐れていた。 こうして出会う事すら。 次郎が大介の様に成長していった事も 古代にとっては心苦しかった。 嫌でも現実に引き戻されてしまう。 島 大介はもう…何処にも居ないのだ、と。 彼から逃げる事で、 また自分は自分の世界に引き篭もる。 大介と過ごした、懐かしい過去の記憶に。 『だが…それは許されない事。 解っていた。 何時迄もこのままでは居られないと。 俺は…アイツとの約束を、守らなければならない』 次郎は、どんな思いで自分を見つめていたんだろうか。 古代一家を、特に幼い美雪の面倒を 兄として優しく見ていてくれたのは… 大介の代わりだったからだろうか。 『違う。そうじゃない。 次郎は…俺にとってもう一人の家族ですらある。 大切な弟…だった』 ふと、古代は意外な言葉に気が付いた。 『…俺は、今……。 次郎は大切な弟【だった】と……」 過去形。 現在進行形ではない。 今、次郎は弟以上の存在として 古代の直ぐ傍に居るのだ。 『大介…』 心の中で、最愛の名を呼ぶのも これが最後となるのだろうか。 『これが、俺の答えだとしたら… お前は俺を恨むだろうか? だが俺は…俺は次郎を守りたい。 お前の分まで、幸せになって欲しい。 その姿を、見守り続けたいんだ……』 誰よりも次郎の一番近くで。 それは暗に、彼との幸せな時間を意味していた。 古代の心は次郎に傾きつつある。 いや、傾きつつあったのだろう。 そして彼は、次郎の告白によって 漸く堅く閉ざされた扉を開こうと決意した。 他ならぬ【自分の幸せ】の為に。 『それこそが…大介と交わした最期の約束。 誰よりも幸せに、 そう願ってくれたアイツの為にも……』 次郎の腕に抱かれながら、 古代はそっと瞳を閉じた。 |