| Data.1-15 |
|---|
あぁ、又だ。 この広大な宇宙に 唯一人残される恐怖。 無性に誰かの温もりが欲しくなる。 一人は嫌だ。 ヒトリハ…イヤダ……。 『進……』 ダレ…? 『進…貴方を、愛しています……』 誰…だ? 『貴方を…俺が、守ります……』 誰なんだ…? 大介じゃない、この声は……。 『進…、もう一人にはしない。 俺が必ず、貴方を…守ってみせる』 次郎……。 細身ながらしっかりとした体躯に 嘗ての大介を思い起こさせる。 古代は次郎の腕に抱かれながら ずっと思考の海に漂っていたのだと 漸く自覚する事が出来た。 『姿や声だけじゃなく、 意外と体臭まで似るものなんだろうか…?』 一人の男として、古代を抱く以上 次郎も兄である大介とは 比較などされたくないだろうから。 そう思いながらも こんな簡単に兄弟を比べた挙句 勝手にネガティブな思考の海に堕ちるのだから つくづく自分は駄目な奴なんだと 古代は再び自己嫌悪してしまう。 次郎が愛用している整髪剤の香りは 偶然なのか、大介の愛用品と同じ種類であり 古代の鼻はそれに反応したのである。 『こんなソックリに成長しなくても 次郎は次郎のままで良かったのに…』 古代はそう心の中でゴチると クスッと笑みを零した。 古代は知らない。 次郎がそう迄して 兄 大介に近付こうとした理由を。 彼と同じ経緯でヤマトに乗ろうとした事を。 喪った存在の大きさ。 次郎にとっても大介は【全て】だった。 誰かの為に強くなれる男。 理想の大人。 最も身近ながら、最も憧れた存在。 次郎にとって、それが大介だった。 古代との関係は子供ながらに知っていた。 母親の素振りから意味を知ったのも かなり早い段階だったと記憶している。 古代だけに見せる大介の笑顔は まるで自分の知らない表情だった。 心からの幸せそうな笑み。 無邪気で子供の様にコロコロと変化する。 こんなにも幸せだった。 古代の御蔭で、大介は大介で居られた。 そして次郎も又 そんな古代の魅力に惹かれた。 必然だったのだろう。 次郎が古代に恋をしたのは。 だからこそ、大介の戦死は 次郎にとっても俄かに信じられなかった。 どんな事が遭っても彼は地球に戻ってくる。 いつもの笑みを浮かべて。 幸せそうに、古代や仲間達と共に…。 大介の遺体が家族の下に戻る事は無かった。 だからこそ、彼の戦死は言葉だけに留まり 心の中まで浸透する事がなく、 それ故 次郎にとっては信じ難い事実として 認識せざるを得なかったのである。 『兄さん…。大介兄さん……』 次郎も又、心の傷が癒えぬまま 古代を抱き締めていたのだ。 |