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乱暴に艦長服を脱ぎ去り、浴室に向かう。 シャワーでも浴びようかと思ったが、 何故か急に気乗りしなくなり… そのまま、ベッドに倒れ込んだ。 冷たいシーツが孤独感を一層引き立たせ、 俺は何とも言えない気分に襲われる。 人肌が恋しくて堪らない。 無性に、誰かと交わりたくて仕方が無い。 自分の貪欲さ、獣の様な欲望剥き出しの感情に 俺は思わず嘲笑してしまった。 何と浅ましいのだろう。 これが【宇宙戦艦ヤマト】の【艦長】だと? 笑わせる。全く、お笑い種だ。 地球が未曾有の人材不足に見舞われなければ 誰がこんな無責任で逃げ腰の男に そんな大役を与えると言うのか。 第一次移民船団の護衛艦に 古代 雪が、愛する俺の妻が 【艦長】として乗り込んだのは何故だ? 俺が逃げたからだ。 責務から、過去から、地球から。 だから彼女が皆、その重責を庇う事になった。 【俺の妻】と、云うだけで…。 そうだ。俺が…雪を追い詰めたんだ。 美雪はそれを痛感している。 当たり前だ。 俺はアイツが生まれてからこのかた 満足に父親業を務めただろうか? 大概は貨物船内で、 雪から定期的に送られる手紙やビデオレターで 愛娘の成長を見届ける位。 船長として、取り立てて魅力が有った訳でも無い。 引っ切り無しに注文が有った訳でも無い。 要は…【仕事】と言いながら 俺はこの大宇宙に逃げ込む口実を得ただけなのだ。 『雪を、幸せにしろよ…。 雪を不幸にしたら…俺が、許さないからな…』 俺は…愛する大介の遺言でさえ 満足に守れていないのだ。 結婚さえすれば、子供さえ授かれば、 それで責務が果たせると…信じていた。 要するに俺は…戦士としても、父親としても、 いや…人間としても【ポンコツ】なのだ。 「……くそっ」 苛立ちが心を支配していく。 愛する者達の笑顔が、闇に消されていく。 何よりも恐ろしい【孤独】が 俺の全てを奪い去ってしまう。 『嫌だ……』 この瞬間が何よりも怖い。 足元から全てが崩れ去る感覚に襲われる。 【あの瞬間】を思い出すのだ。 無理矢理にでも蘇る、悪夢の瞬間。 確かに握っていたその手が ゆっくりと俺と雪の手をすり抜け… 力無く、空中に投げ出される。 俺の中で、何かが壊れた瞬間だった。 あの時からずっと俺は 大切な者を奪われたまま。 壊れてしまった宝物を抱き締めたまま 泣く事しか出来ない子供の様に。 明けない夜に取り残されてしまった。 俺は又…一人ぼっちになってしまったのだ。 |