Data.2-10

『船長、又ですか?』

脳裏に響く、呆れた声。
目の前には大きな人影。
大介じゃない。
彼よりも、もっと肩幅があって…。

『確りして下さい、船長。
 ほら、ベッドは此処ですから。
 どうして呑んじゃうかな、この人は…』

呑みたいからに決まってるだろう?
大介なら、そんな事は聞かなかった。

『良いですか、船長。
 酒は呑んでる内が楽しいんです。
 酒に呑まれる様じゃまだまだですよ』

佐渡先生みたいな事を言うんだな。
大介にしては随分と親父臭い説教をする。

それに、【船長】って何だ?
俺は艦長だぞ?
何を寝惚けてるんだか…。

『古代船長。
 貴方は本当に、後悔して無いとでも?』

え…?

『無理をしないで下さい、古代船長。
 船に乗ればチームワークが鍵だって
 貴方はいつも若い衆に
 口酸っぱく言ってるじゃないですか』

それは…だって、沖田艦長が……。
俺は只、彼の真似事ばかり……。

『皆、船長に感謝してるんですよ。
 御蔭で危険な目に遭う事無く
 無事に任務を果たして
 帰って来れるんですから』

違う、違うんだ。
それは…俺じゃなく、皆が…。

『船長、自信を持って下さい。
 私がいつでも力になります』

…この声は、もしかして……?

『地球を舐めるなよっ!
 ヤマトを舐めるなよーっ!!』

大村さんっ?!

* * * * * *

「ほう、もう目を覚ましたか」

眩しい灯に目を細めながらも
古代は声の在る方向を睨み付けた。
首から下は相変わらずグッタリとしており
指一本まともに動かす事は叶わない。

「俺を…どうする、つもり…だ…?」
「口が聞けるとは恐れ入った」
「こた…え、ろっ……!!」
「口の聞き方に気を付けろ。
 貴様如き下賎な輩と
 こうして口を聞いてやるだけでも
 有り難いと思え」
「…ぐぅ……」

古代は息を飲み込んだ。
確かに体は動かないが
それは薬の作用だけではない。
両手首、両足首が
金属製の止め具で抑えられているのだ。
丁度寝具の上に大の字になって
貼り付けられている格好になる。

『直ぐに処刑する気は無さそうだな。
 だが、何を考えているのか全く読めない。
 こいつ等は一体何者なんだ?
 そしてこの星は一体……?』

何とか意識を指に動かしてみる。
薬の効果はなかなか強力で
まだ当分は自由が利きそうに無い。

『もしあのまま眠っていたら…
 一体どうなっていたんだろう?』

古代は夢の中で聞いた大村の声が
自分を現実に呼び戻してくれたのだと感じた。

『有難う、大村さん…』

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SITE UP・2010.6.10 ©森本 樹


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